若年世代を苦しめる「年金枯渇論」の重罪…公的年金の見通しを経済評論家が解説 ※写真はイメージです/PIXTA

日本は少子高齢化が進展し、年金原資は現在の高齢者に使い尽くされてしまう。若者は年金を支払っても、自身の老後には受け取れない――。そんな危機感をあおる言説があちこちで聞かれます。しかし、実際に計算すると、多少の減額はあれど、やはり年金は頼れる老後資金となることに変わりありません。若い人たちのやる気を奪うこの言説は本当に罪深いといえます。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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公的年金は受け取れない?極端な言説に注意

「公的年金は破綻するから、いまの若い人は老後に公的年金がもらえない」と考えている人は少なくないようです。評論家やマスコミ等は悲観的な話を好む場合が多いので、影響されている人も多いでしょう。あるいは「公的年金には頼れないから、自分で投資して増やさないと!」といいながら投資商品を売りつける輩の言葉を信じている人もいるでしょう。

 

たしかに、日本の公的年金制度は少子高齢化に弱いので、心配する人にも一理あります。現役世代が高齢者を支える現在の制度では、少子高齢化で現役世代が減って高齢者世代の人数が増えていくと、高齢者1人あたりの受取額が減ってしまうからです。

 

しかし、公的年金が受け取れないと考えるのは極端すぎます。「若干減るけれども、老後資金の最大の柱であることには変わりない」といった程度だと、筆者は考えています。

現役世代の人数、減少してもゼロにはならないので…

現役世代の人数が減っていくといっても、ゼロになるわけではないので、公的年金がまったく受け取れないということはあり得ません。

 

今後の少子化の進展具合にもよりますが、20年後の現役世代の人数は概ね正確に予想できるわけで、減ってはいきますが、それほど急激に減少するわけではありません。

 

一方で、20年後には団塊の世代の多くが年金受給者ではなくなっているでしょうから、それによる年金財政の負担軽減も考えれば、簡単に年金財政が破綻するわけではない、ということが理解できると思います。

専門家で年金破綻を懸念している人は「極めて少数」

年金問題の専門家で、年金破綻を真剣に懸念している人は極めて少数だと思います。それほど年金に詳しくないのに「専門家」としてマスコミに登場して、不安を煽るだけの人はいるかもしれませんが(笑)。

 

厚生労働省が5年に1度、将来の年金に関する試算を発表していますが、それによると将来の高齢者は現在の高齢者と似たような生活水準が維持できる、ということになっています。「現役世代の生活水準が上がっていくので、高齢者の割負け感はあるだろうが」といったイメージです。

 

前提として置かれている経済成長率などが若干楽観的すぎるかもしれませんが、筆者がみたところ、それほど不自然ではないようです。まあ、若干割り引いて考えればいい、といったところではないでしょうか。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。2022年4月に定年退職し、現在は経済評論家。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載老後資金の不安を解消!経済評論家・塚崎公義氏の「資産管理・資産形成術」

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