
内閣府の年次報告書『高齢社会白書』(令和3年版)より、日本人の厳しすぎる実態について見ていきます。
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23区「一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数」は増加
高齢化に伴い、「一人暮らし高齢者」が増加傾向にあります(65歳以上を高齢者と定義)。
総務省統計局『国勢調査』(令和2年)によると、現在高齢者の約5人に1人が一人暮らしです。住居の状況について見てみると、持ち家率が66.2%、公営・都市再生機構(UR)が11.6%、民営借家が21.7%となっています。
一人暮らし高齢者の方々が不安視するのは、孤立死。「誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死」と定義づけられた本問題について、「とても(身近に)感じる」と「まあ(身近に)感じる」と答えた人の割合は、60歳以上の全体では34.1%であるものの、一人暮らし世帯では50.8%と急騰する結果となりました。
実際、東京23区内における一人暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、令和元年に3,936人となり、前年比で増加しました。平成23年から、8年連続の増加です。
孤立死を防ぐため、今住む家を手放し、老人ホームに入居というのも、考えられる選択肢です。しかしそのためにはお金が必要。入居形態によって費用は様々ですが、個室でゆったりとした生活を送りたいとなると、月々20万円程度は想定すべき、といわれています(関連記事『両親ふたりで月40万円…老人ホーム費用で「介護破産」の現実』)。
単身高齢者は資金繰りに余裕があるのか? 『家計調査年報』(令和元年)より高齢単身無職世帯のお金事情を見てみると、実収入は「13万6,964円」。一方の支出額は「14万4,687円」と、毎月7,000円程度の赤字が出ていることが明らかになっています。
病に伏す前に、お金が尽きる前に、誰かに何かを、伝えられないのか。実は日本の高齢者、各国と比べて「圧倒的にコミュニケーション不足」なのです。
■各国の60歳以上「近所の人とのつきあい方」最多回答(複数回答可)
日本……外でちょっと立ち話をする程度(64.7%)
スウェーデン……外でちょっと立ち話をする程度(88.5%)
アメリカ…相談ごとがあったとき、相談したり、相談されたりする(42.1%)
ドイツ……お茶や食事を一緒にする(46.3%)
さらに「病気の時に助け合う」と回答した割合は、アメリカ38.9%、ドイツ30.1%、スウェーデン8.9%、日本5.0%であったほか、家族以外の人で相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人が「いずれもいない」と回答した割合は、日本31.3%、アメリカ14.2%、ドイツ13.5%、スウェーデン9.9%と、日本人の孤独すぎる実態が露わになっています。