「工場」を建てるならば…大地震にはどの程度、備えるべきか? (※写真はイメージです/PIXTA)

完全受注生産の建物づくりは、やり直しがきかない一大事業プロジェクトである。ここでは「工場」に焦点を当て、「どんな機能をもたせるべきか」「耐震性能はどれほどにすべきか」について、三和建設株式会社・社長の森本尚孝氏が解説していく。

「厨房の延長のような」昔の食品工場も存在するが…

■「何をするための建物」「どういう建物」をつくりたいかを明確にする

 

工場や倉庫は生産活動のための施設である。そのために建てる前には、何を実現するための建物なのかを明確にすることが大事になってくる。

 

仮に食品工場ならば、温度設定が何度なのか、1日にどれくらいの量をつくるのかなどが明確になっていないと、建物のスペックを決められずにプロジェクトが難航してしまう。このプロセスを要件定義という。

 

例えば現在の工場が老朽化し、たまたま土地も手に入れたので建て替えを考えている施主がいるとする。しかし今の工場でも生産はできているし、経営状態に喫緊の問題があるわけでもない。このように建て替えの目的が漠然としていると、プロジェクトは停滞しがちになる。

 

これが「生産能力を2年間のうちに、現在の工場の1.5倍にしたい」というように目的が明確になっていると、プロジェクトはスムーズに進みやすくなる。

 

また古くから同じ工場を使っている施主には、事務所を改造したまま、あるいは厨房の延長のような場所で食品を製造していることもある。

 

そのような場合は現代の食品工場に求められる温度管理や圧力の制限などに想像が及ばず、工場の建物はがらんどうで十分だと思い込んでいることもある。すべてのものづくりに目が行き届く「キッチン」や「工房」から、製品を量産する「食品工場」へステップアップするには発想の転換が求められる。

 

大まかには目的が見えていても十分な言語化がなされずに、明確に整理されていない施主も少なくない。工場・倉庫建設をともに行うパートナーと意見交換をしていくうちに、潜在的な要望に気づかされることも多いはずだ。実績を有する良きパートナーは的確な助言や気づきを与えることができる。

 

目的のヒアリングは当社でも非常に重視しているプロセスだ。仮に施主から面積や機能を具体的に伝えられたとしても、そのとおりに建ててみると、真の目的を満たすために必要な機能が足りておらず、本来実現したいことができない施設となってしまうこともある。

 

具体的な要求スペックを探るのみならず、施主が何を実現したいのか、本質的かつ潜在的な要望まで掘り下げることは必須のプロセスだと筆者は考えている。

三和建設株式会社 代表取締役社長 

1971年京都生まれ。大阪大学工学部建築工学科卒業、同大学院修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2001年、「サントリー山崎蒸溜所」をはじめ大手企業の建物・工場等を70年以上にわたり建設してきた三和建設株式会社に入社。2008年、4代目社長に就任。

長年にわたり培ってきた豊富な実績を活かし、「単なる建設」を超えた、「顧客の真の要望とメリットを最優先した価値提案」にこだわり続ける。

三和建設はGreat Place to Work® Institute Japanが実施する2021年版「日本における『働きがいのある会社』ランキング」にて7年連続でランクインする。

著者紹介

連載「工場・倉庫づくりのポイント」理想の建設計画

※本連載は、森本尚孝氏の著書『工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫』から一部を抜粋・再編集したものです。

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

工場・倉庫建設は契約までが9割 完璧な事前準備と最適なパートナー選びでつくる理想の工場・倉庫

森本 尚孝

幻冬舎メディアコンサルティング

新しい工場・倉庫の建設は企業にとって社運を賭ける一大事業である。 これまで多くの工場・倉庫・事務所ビルの建設に携わってきた筆者は、理想の工場・倉庫づくりに最も大切なのは、「一緒に考え、つくり上げていく」パート…

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