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トヨタがたどり着いたこれからの「クルマの作り方」
実は20年度までトヨタのバランスシートには「無形資産」という勘定科目が存在しなかった。無形資産と考えられるソフトウエアなどはあるものの、50兆円を超すトヨタの総資産と比べると数字が小さく、「記載するには値しない」と同社が判断したからである(2020年5月16日付日経新聞「見えない資産」に注目をコロナ禍から反転攻勢へ)。
それが今や1兆円の無形資産を計上している。これは同社が保有する土地と同じ額であり、工場など建物の5分の1に匹敵する額だ。
もはやクルマは工場でヒトが作るものではない。ソフトウエアのプラットフォームで作るもの。バーチャル空間を利用した大量のシミュレーションで設計し、つながったネットワークからの情報を取得して改良していく。こうした思考にトヨタはたどり着いたのだ。
これこそ真のDXである。DXとは単なるデジタル化ではない。事業構造を根本的に変革するトランスフォーメーションを伴うデジタル化がDXである。日本で真のDXに踏み出している企業はまだ少数だ。しかし、トヨタは間違いなくその1社である。
1月5日前引け時点でもトヨタは大幅続伸。ソニーG(6758)も大幅続伸だ。一時1万5670円まで買われ、株式分割考慮ベースで2000年3月上旬以来およそ21年10カ月ぶりの高値を付けた。日立(6501)、NTT(9432)も大幅続伸。
これらに共通するのは単なるデジタル化ではなくトランスフォーメーションを伴う真のDX企業に変革しているという点だ。
新年の相場は何が今後の企業価値評価の中心となるかを雄弁に物語っている。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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