(※写真はイメージです/PIXTA)

今でも多くの医師は初期研修を終えたのち、大学の医局に所属します。医局にいれば仕事や勤務先の心配はあまりしなくてよく、医師としての経験や知識を磨けるメリットもあります。しかし、30代から40代になると、いろいろな理由で医局を離れるケースが増えてきます。城田さん(仮名)も、医局を離れ、第二のキャリアとしてフリーランスの道を選んだ一人。フリーランスとして成功できたのは、不動産投資によって安定した副収入を得られていたから、という心理的な理由も大きいようです。

フリーランスの「不安定さ」は不動産投資でカバー

麻酔科の場合、基本的に手術ごとに仕事が完結し、設備や器具も自前で用意する必要はなく、医局を辞めた翌日からでもフリーランスとして働くことが可能です。

 

一方、フリーランスには当然、デメリットもあります。雇用は不安定であり、病気やケガで休めば無収入になってしまいます。また、仕事が来るかどうかは腕次第。評価されれば好条件のオファーが次々やって来ますが、評価が低ければ依頼も途切れがち。なかには勤務医に戻るケースもあるようです。

 

城田さんの場合、予想以上に依頼が殺到し、収入も大幅にアップしたことはいうまでもありません。しかし、フリーランスには先に述べたようなデメリットもあります。そこで城田さんは、医師として働く以外に収入を得るため、投資についての勉強を始めました。その結果、フリーランスで高収入の医師にとって、最もメリットがあるのが不動産投資であるという結論に達したのです。

 

「そもそも医師は社会的評価が高く、銀行からの融資が受けやすい。私の場合、都心に区分ワンルームを5戸、地方に中古1棟マンションを2棟、購入しました。そのキャッシュフローは年間360万円ほど。フリーランスとしての仕事とは別の安定収入があるというのは、心理的にはすごく大きい。それに、入居者の募集とか実際の運営管理は不動産会社に任せておけば、ほとんど手間が掛からないし、減価償却による不動産所得の赤字によって、所得税などの節税効果も期待できる。将来は年金代わりとしても期待しています。」

 

城田さんは今後、借入残高とキャッシュフロー、節税効果のバランスを見ながら、さらに保有物件を増やしていく予定です。

「医師向き」の賃貸用不動産を考える

賃貸用不動産といっても、具体的に物件にはいろいろな種類があり、それぞれメリット、デメリットがあります。主な賃貸用不動産の物件種別について、「医師の不動産投資」という視点で整理します。

 

【アパートとマンション】

賃貸用不動産で代表的なのが、アパートとマンションです。

 

一般的に、アパートは木造または軽量鉄骨造で、2階程度までの建物を指します。

 

一方、マンションは基本的に鉄筋コンクリート造で、低層のケースもありますが、一般的には中層から高層の建物です。

 

こうした構造の違いによって、遮音性や耐久性、防火性など、建物としての性能は基本的にアパートよりマンションのほうが高く、そのため賃料水準も高い傾向があります。また、マンションのほうが物件の耐用年数が長く、減価償却費などにも影響してきます。

 

さらに、次に触れますが、賃貸用不動産としてアパートは1棟まとめて土地と建物が売買されます。それに対してマンションの場合、1棟で売買するケースと、1住戸単位で売買するケースがあります。マンションは1住戸単位で「区分所有権」という権利が成立し、その権利を売買するものです。

 

投資金額の順でいうと、マンションの1住戸(区分)が最も少なく、次がアパート1棟、最も金額が大きくなるのがマンション1棟というイメージです。そもそも不動産投資とはどのようなものか実践で理解するためならマンションの1住戸から始めてもよいでしょう。

 

ただ、マンションの1住戸では不動産投資としての効率が悪く、ある程度、まとまったキャッシュフローを確保するためには、アパート1棟やマンション1棟を検討するのがよいと思います。

 

【区分マンションと1棟マンション】

マンションでは投資の単位として、1住戸と1棟の2つのパターンがあります。

 

1住戸のほうが当然、投資金額は少なく、始めやすいといえます。一方、マンションの1棟というと、戸数にもよりますが数億円から10億円以上ということも普通です。

 

1住戸と1棟の一番大きな違いは、権利の範囲です。1住戸の場合、他の住戸の所有者と横並びの権利しかなく、リフォームなど自由に手を加えられるのは基本的に自分が所有する住戸の室内に限られます。窓やドアを勝手に替えることもできません。また、建物や敷地の管理については管理組合による多数決で決めることになっています。

 

一方、1棟であれば、土地と建物すべてが自分のもので、築年数が古くなったとき、建物全体をリノベーションすることが自分の判断できます。

 

女性医師の不動産投資の視点でいうと、キャッシュフローの確保がしやすいことや、権利の範囲が広いことなどから、1棟のほうをお勧めします。

 

【新築と中古】

アパートにしろ、マンションにしろ、新築と中古の区別があります。

 

当然、新築のほうが価格は高くなり、入居者の人気もあるので家賃設定も高めにできます。中古として次第に年数が経つと、家賃は次第に低下し、価格も安くなっていきます。

 

不動産投資の視点で重要なことは、投資額(購入価格)とリターン(賃料収入)のバランス(利回り)をどう見るかです。一般的に、新築のほうが投資額に対するリターンは低めです。これは、市場において新築物件は常に供給されるわけではないので価格にプレミアムが付きやすい一方、賃料は中古を含めた周辺相場に影響されるためです。

 

投資額とリターンのバランスでは、中古のほうが有利なことが多いのは事実ですが、中古物件は築年数が経つにつれて建物の修繕や設備の入れ替えなどにコストが掛かります。逆に、そうした修繕や入れ替えを行わないと市場での競争力が失われ、空室率が上昇します。

 

入居者の募集に困らず、雨漏りがしたとか、エアコンが壊れたといったトラブルもほとんどない新築(あるいは中古でも築10年以内)がお勧めです。

 

利回りは中古に比べてやや低く、同じ投資額であればキャッシュフローも下がりますが、そこは投資規模の面でカバーできます。

 

以上はあくまで一つの見方ですが、参考にしていただければ幸いです。

 

 

大山 一也

トライブホールディングス 代表取締役社長

 

植田 幸

資産コンサルタント、宅地建物取引士、AFP(日本FP協力認定)

 

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    ※本連載は、大山一也氏、植田幸氏による共著『幸せになれる女性医師の不動産投資』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    大山 一也
    植田 幸

    幻冬舎メディアコンサルティング

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