(※写真はイメージです/PIXTA)

クリニック経営を成功させるには、どうすればよいのでしょうか? 「スタッフはちょっと多めの人数で経営しましょう」「奥様への給料はきちんと払ったほうがいいですよ」…クリニック専門税理士法人を運営する鶴田幸之氏が、顧問先でこれらのアドバイスを送るのは、かつて筆者自身が失敗・苦労を経て得た「気づき」があるからです。同じ「経営者側」として、これから開業を考えている医師や、開業からまだ数年という医師、その奥様方に向けて、経営成功のポイントを解説します。

「期待通りのスピード」で育つスタッフはほぼ皆無

さて、スタッフの採用ができると、今度は育成をしていかなければなりません。スタッフを育てるためには、まずは院長先生と奥様が同じ考えを持っていなければなりません。ご夫婦の意見のすり合わせがされておらず、お二人がバラバラのことを言ってしまうと、スタッフは院長先生と奥様のどちらの言うことを聞けばよいのか混乱してしまいます。

 

そのためにも、院長先生は、奥様に相応の給料を払って院長先生の味方になってもらいましょう。奥様をタダ働きさせてはいけません。そして今後の医院の経営方針について夫婦でよく話し合いをして下さい。

 

実際にスタッフの育成をしてみて私が驚いたことは、人に仕事を教えるのは、自分がやるよりも3~5倍くらいの時間がかかるということです。もしかすると相手によっては10倍くらい時間がかかるかもしれません。また、仕事を教えてもらっても、人によって理解するスピードがバラバラで、なかなか思ったように理解してくれないということもあるでしょう。

 

「こんなに丁寧に説明しているのになぜわからないの?」

「この前も同じ説明をしたよね? これで何回目?」

「なぜもっと真剣に仕事を覚えようとしないの?」

 

相手を責める心が心の中にムクムクと出てきては、

「いやいや、ここは我慢しなきゃ」

という辛抱の繰り返しです。

 

自分が期待するスピードで育ってくれるスタッフは皆無に等しく、ほとんどの人が自分が想定しているスピード以下でしか育ってくれないでしょう。特に開業時に、スタッフの物覚えの悪さにウンザリされる院長先生はたくさんいらっしゃることでしょう。

 

しかしよくよく考えると、院長先生ご自身はこれまで10年、20年と長い年月をかけて医療技術をマスターしてこられたわけで、たった数ヵ月で院長先生のお眼鏡にかなう仕事ができるようになるはずがありません。イライラするだけ損です。院長先生には、じっくりと育ててあげる心の余裕を持っていただきたいと思います。

 

 

鶴田 幸之

メディカルサポート税理士法人 代表、税理士

1968年生まれ。早稲田大学社会科学部卒。福岡の大手会計事務所の医療機関専門の税務スタッフとして5年勤務の後、2008年医院専門の税理士事務所を開業。妻が2019年の税理士試験に合格し、現在税理士二人態勢となる。顧問先医院から最近受けた相談を紹介する「メルマガで学ぶ医業経営のポイント」およびYouTube「医院経営の教科書」も配信中。著書に『成功する開業医』(中央経済社)がある。

 

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※本連載は、鶴田幸之氏の著書『成功する開業医』(中央経済社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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鶴田 幸之(著)
茂垣 志乙里(イラスト)

中央経済社

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