写真提供:アトリエハレトケ

日本の住宅は、他の先進国と比べて「驚くほど寒い」ことをご存知でしょうか。家を建てる際には、「断熱性能」の高さを重視し、健康で快適な生活を実現したいもの。そのために知っておきたいいくつもの「基礎知識」について、住まいるサポート株式会社代表取締役の高橋彰氏が解説していきます。

断熱材の種類は何でもいいが…「これ」には要注意!

断熱性能を確保するために、床(基礎)・壁・天井(屋根)に断熱材を施工するわけですが、断熱材には実にさまざまな種類があります。工務店やハウスメーカーごとにそれぞれのこだわり、選定理由があります。

 

断熱材の「熱を断つ」という機能に絞れば、断熱材の種類は、私は何でもいいと思っています。断熱材の「熱を断つ」以外の性能については、別の機会に触れたいと思います。

 

住宅の断熱材として最も多く使われているのは、グラスウールです。グラスウールがもっともよく使われているのにはいくつかの理由がありますが、最大の理由はコストパフォーマンスに優れる点です。

 

ただ、グラスウールを使う場合は、少し注意が必要です。

 

私の個人的な印象では、断熱材にグラスウールを使用している工務店・ハウスメーカーは、大きく2つのグループに分けられるように思います。

 

1つは、単にコストが安いから採用しているだけのグループ。もう1つは同じくコストが理由ですが、施主の立場に立って、最大限にコストパフォーマンスの高い家を実現したいと思っているグループ。この2つは似て非なります。極端に言うと、前者はどうせ後で見えなくなる箇所なのだからと、そこそこの施工で済ませている可能性があります。

 

グラスウールはコスパは高いのですが、実は施工に少し手間がかかり、きちんとした施工をしようとすると、かなりの施工精度が要求されます。例えば、コンセント周り等に「断熱欠損」を生じさせないように施工するのは少し難しく、[図表5]のような施工不良が少なくありません。

 

 

これは、家全体の断熱性能が設計値通りにならないだけでなく、欠損部分が弱点になり、壁の中で結露が生じるリスクがあります。そうなれば当然、家の耐久性や耐震性能維持にも悪影響を及ぼします。

 

後者の工務店の場合は、非常に意識が高いため、とても高い施工精度で、断熱欠損のないようきちんと施工します。ただ工務店が、この前者か後者のいずれなのかを見極めるのはかなり難しいと思います。見極め方としてはまず、断熱材の施工が終わった時点で、現場を見せてもらうことが有効です。また、構造見学会等があれば参加してみるのもいいと思います。

 

もっとも有効な見極めポイントとしては、「気密測定を実施しているかどうか」があります。一般的には、気密測定を標準で全棟実施している会社はある程度信頼してもいいと思います。気密施工と断熱材の施工精度とはイコールではありませんが、気密測定を全棟行っている工務店であれば、一定以上の住宅性能へのこだわりを持っていると判断していいと思います。

快適性・経済性に優れる家は「HEAT20のG2以上」

今回は、住宅の性能に知識のない方々にとっては、少し専門的で、とっつきにくい内容だったかと思います。

 

ただ、いままで説明してきた通り、我が国で普通に家を建てると、他の国では考えられないほど低性能で、健康・快適性・経済性のどの面からもデメリットばかりの家が生まれてしまいます。後悔のない住まいづくりのために、せめて、HEAT20のG2という言葉だけでも覚えていただき、参考にしていただければと思います。

 

 

高橋 彰

住まいるサポート株式会社 代表取締役

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