上野公園の西郷隆盛の像(PIXTA)

「前田利家は人件費をケチりすぎて謀反された」「樋口一葉は愛人手当で食いつないでいた」……作家・歴史エッセイストの堀江宏樹氏は著書『偉人の年収』(イースト・プレス)のなかで、偉人たちの生々しすぎるお金事情を暴露している。歴史書で読んだ「憧れのあの人」の裏側、本連載で一つずつ追っていこう。初回は西郷隆盛。

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「金」と「権力」に怒れる西郷…まさかの『お前が言うな』状態!?

●陸軍大将「西郷隆盛」…賞与抜きで年収1億2,000万円!?

西郷隆盛といえば、出世や収入にこだわらなかった“清貧の士”のイメージが強いのではないでしょうか。たしかに、彼は次のような言葉を残しています。

 

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末(しまつ)に困るもの也(なり)。この仕末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業(たいぎょう)は成し得られぬなり」(西郷隆盛『西郷南洲翁遺訓』)。

 

――命も名声も、官位も財産もいらないという人は、取り扱いに困るものだ。しかし、誰かの思い通りに動かしにくい人でなければ、国家の大事業を成功させることはできない……などと意訳できるでしょうか。

 

また、明治維新後の西郷は政府の重鎮として仕事を始めていますが、「政府内の役人たちは、揃いも揃って金や権力に汚い」と激しく批判したこともありました。

 

ところが、その西郷は明治新政府において、最高水準の給与やボーナスを受け取っています。「西郷隆盛の年収は1億2,000万円」と聞いたことがある方も多いのでは?

 

この数字にも根拠はあるのです。明治5年(1872年)に陸軍大将になった西郷の月給は500円。当時の1円=現代の1万〜2万円とされるため、多く見積もれば月給1,000万円、賞与など抜きでも年収1億2,000万円だったといえるのです。本連載では基本的に明治時代の1円=現代の1万円として計算していますが、その場合でも年収6,000万円。西郷は高給を得ながら、ほかの役人の贅沢な暮らしぶりを批判していたのでした。

次ページ清貧への理想と現実…「華麗なる西郷家」の真実

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