自筆証書遺言を開封する際の注意ポイント
封印してある封筒は検認を受けるまで勝手に開封することができません。遺言者の死後、家庭裁判所での検認の際に、すべての相続人に立ち会いの機会を与えたうえでないと開封できないことになっています。
遺言書の検認を受けずに開封すると、ただちに遺言が無効になるわけではありませんが、遺言書の改ざんなどが争われるリスクが非常に高まります。また、検認を受ける前に開封すると5万円以下の過料に処せられます。
■遺言書の検認はどのような目的の手続きなのか?
遺言書の検認は、家庭裁判所が遺言者の遺言であることを確認し、遺言の内容を明確にして遺言書の偽造や変造を防ぎ、そのままの状態で保存する目的で行います。
遺言書の検認では、遺言書の形状・加除訂正・日付・署名・押印などの状態を確認します。検認は遺言書の書き方や内容が法的に有効であるかどうかを判断するためのものではないので、検認を受けても法的に正しい形式で作成されていないと無効になってしまいます。
遺言書の検認の手続きの流れ
遺言書の検認を受ける手続きは、遺言の保管者・発見者が遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に届け出て、検認の申し立てを行います。検認の申し立てに必要な書類は主に以下のようなものになります。
- 遺言書(封筒に入っていない遺言書はそのままの状態で提出)
- 申立書(裁判所のホームページからダウンロード可)
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
これら必要書類を準備したうえで、遺言書1通につき800円の収入印紙と連絡用の郵便切手を添えて提出します。検認の申し立てが受理されると、裁判所から相続人に対して検認期日が通知されます。
検認期日には、申立人が遺言書などを持参して家庭裁判所へ出頭し、同じく出頭した相続人などの立ち会いのもと、家庭裁判所が遺言を開封、内容を確認します。
申立人以外の相続人などが検認期日に出頭するかどうかは自由です。検認の手続きが終了した後は、家庭裁判所に対し検認済証明書の交付申請を行います。相続登記や預金口座の名義変更など、相続手続をする場合は、検認済証明書の提出が必要になるので必ず交付申請をしましょう。
遺言書の保管方法と検認に関するまとめ
- 自筆証書遺言や秘密証書遺言は封印して銀行の貸金庫や信頼できる第三者に保管を依頼するといい
- 遺言書は検認を受ける前に勝手に開封してはならない
- 検認済証明書は相続登記や預金口座の名義変更など相続手続に必要となる
大槻 卓也
行政書士法人ストレート 代表行政書士
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