(※画像はイメージです/PIXTA)

ものづくり(製造業)を主軸とする日本にとって、温室効果ガス排出量削減の取り組みはどのような意味を持っているのでしょうか。ヴェリア・ラボラトリーズ代表取締役社長の筒見憲三氏が解説します。

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    製造業を主軸とする日本における「脱炭素」の意味

    例えば、私たちが使っているスマートフォンは、さまざまな国で部品が作られ、最終的に世界各地から集められた部品をもとに組み立てられ、世界中に出荷されていきます。

     

    この際、ある国が部品を製造するときに排出する二酸化炭素が多く、その他の国は二酸化炭素の排出量を減らす対策を講じていた場合、完成した製品は果たして「脱炭素」であると言えるでしょうか。

     

    温室効果ガスは地球全体の気候に影響を及ぼすため、過大に排出した国や企業だけでなく、排出を抑制している国や企業まで影響を受けることになります。そのような理由から、前述の製品は「脱炭素」であるとは言えないことになります。

     

    ある製品が脱炭素であるためには、あらゆる部品や製造工程に至るまで、いわゆるサプライチェーン全体としての脱炭素対策が為されている必要があるのです。

     

    このような観点から、国際社会では「国境炭素税」の議論が活発化しています。国ごとの二酸化炭素排出量の不均衡を是正するため、二酸化炭素を多く排出している国には、相応の金銭的ペナルティを課すことが、これらの議論の目的であると言えます。

     

    不平等な制度とならないよう、国際社会の合意までにはまだまだ議論が必要です。

     

    しかし、「ものづくり」と言われる製造業を主軸とする日本にとっては、私たちは部品のひとつひとつにまで、二酸化炭素の排出量が紐づけられて評価される社会が到来する可能性を、しっかり認識する必要があるでしょう。

     

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    筒見 憲三

    愛知県犬山市出身。 1979年京都大学工学部建築学科卒業、1981年同大学院工学研究科建築学専攻修了後、 大手建設会社に入社。 1991年ボストン大学経営学修士(MBA)取得。 1992年(株)日本総合研究所に転職。 1997年(株)ファーストエスコの創業、代表取締役社長に就任。 2007年(株)ヴェリア・ラボラトリーズを創業。代表取締役社長に就任し現在に至る。

     

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『データドリブン脱炭素経営』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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