(写真はイメージです/PIXTA)

在日外国人の相続は、日本の法律に基づいて行われる場合と、被相続人の本国の法律に基づいて行われる場合があります。本記事では被相続人が在日外国人だった場合の相続手続きを行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が解説します。

遺産分割協議書の作成とその際の注意点

遺産分割協議において遺産分割の合意が成立したときは、日本にある不動産につき相続登記をするために必要となります。

 

そのため、合意の内容を記載した遺産分割協議書を作成します。その際には署名のほか、実印で押捺し、印鑑登録証明書を添付します。なお、子供が未成年者の場合には、母と子供とは利益相反関係になるため、母が子供を代理して遺産分割協議を行うことができません。

 

この場合には、母が家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任してもらいます。そして、選任された特別代理人が未成年者を代理して、未成年者の利益を図る観点から遺産分割協議を行うことになります。

 

なお、遺産分割をはじめとする相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができません。

遺産分割協議に基づく相続登記申請

前述したように、日本にある不動産につき相続登記を行う場合には、登記権利者である相続人が、相続に関する登記原因証明情報を提供しなければなりません。

 

本事例では、相続人は妻と子どもだけであって、アメリカ人の亡夫には他に相続人がいない旨の証明書・遺産分割協議書・相続人の印鑑登録証明書等を添付し、相続登記の申請をします。

 

ちなみに、中国には戸籍制度がありませんが、中国国籍の者が日本にある不動産について相続登記を申請する場合には、中国総領事館に対して被相続人と相続人の関係を証する公証書の発行を申請し、添付することで証明できます。

 

相続人が印鑑登録証明制度のない国の外国人の場合、押印すべき書類に本人が署名して、これに公証人その他の公的機関が、本人が署名した旨の認証文を付した書類が、印鑑登録証明書に代わる本人の意思確認手段として使用できます。

 

また、在外日本人の場合も、外国の公証人や在外日本領事によって本人自身が署名した旨を証明する方法があり、これが印鑑登録証明書に代わるものとされます。

被相続人が在日外国人の場合の相続税はどうなるのか

日本国内に住所がある以上、在日外国人であっても、国内外すべての財産を対象に相続税の納税義務が発生します。

 

また、被相続人が日本国内に住所を有していなくても、被相続人または相続人のどちらかが相続開始前5年以内に日本国内に住所を有していた場合は国内外すべての財産を対象に相続税を納めなければなりません。

被相続人が在日外国人だった場合の相続手続きまとめ

・相続の準拠法は被相続人の本国法に基づくが、その国の法律で「日本の法律によるべきだ」とされている場合は日本法が適用される

・渉外相続では一般的に各種証明書を保管する書面として宣誓供述書を活用する

・日本にある不動産の相続登記をする場合は遺産分割協議書を作成する

・在日外国人であっても相続税の納税義務は発生する

 

 

大槻 卓也

行政書士法人ストレート 代表行政書士

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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