コロナショックは健全経営されていた会社ほど経営インパクトを受けやすい。(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナの感染拡大はホテルや一部の商業施設を除いて、市況の回復が見られるのではないかといいます。今後、国内不動産市場にどのような影響が予想されるのか、国際投資アナリストが著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)で解説します。

東京、首都圏郊外の住宅需要は今後も盤石

■住宅

 

コロナショックを通じた、住宅購買層(30ー40代)の経済力低下による購買力の低下がみられるかと思い、また銀行も住宅ローンというよりは企業救済のほうに時間を取られているようで、新築住宅の需給においては、相対的に短期的には需要減、供給過多になるのでは、と考えます。

 

一方で、ギグワーカ―などを含めた全体的な労働者の所得減の傾向もあり、所得200ー300万円程度の層にフォーカスをした、中低所得層住宅の賃貸需要は今後も出てくるのでは、と見られており、投資ファンドなども注力しているようです。

 

投資ファンドに加えて、安価になれば、という海外投資家もいらっしゃるようで、価格面でも暴落となるような、印象ではありません。特に東京の賃貸住宅市場に関しては、中国人投資家が増えている、とのことです。

 

『コロナ禍による海外渡航の制限が掛かっているため、物件の見学に来日できないだけで、中国人投資家の意欲は衰えていません』

 

加えて高齢化に伴う空き家問題はあるものの、逆に空き家のオーナーも改修と一緒に、都心の築年数が一定程度ある物件(アパート)などをリノベし、安価に購入でき、且つ在宅勤務でも心地よく仕事できる環境を整えた中古住宅などへの需要は今後も続きそうです。

 

対照的に相続税対策のためのタワーマンションなど、高級志向へのニーズは弱くなっており、テレワークの浸透や通勤が依然より必要なくなるという場面において、東京でも2020年7月には、若干ながら人口流出となってきております。しかし東京から郊外移住自体は、あまり安易ではない、と見られており、一部を除き、すぐに郊外へ出ていく、という意向があるわけでもないようです。

 

総合的に見ると、都心の高級マンション以外の東京や首都圏郊外(千葉、埼玉、栃木、茨城、山梨等)住宅需要は、今後も盤石そうですし、価格下落となれば、買い手が現れそう、です。但し、高齢化による空き家問題も同時に見ておく必要がありそうです。

 

■商業施設

 

都心での人口流出と非接触のECのトレンドが強くなることに加えて、コロナ前より外食の機会が減り、コロナショックによるインバウンドの支えも少ないとなると、都市中心のモールやデパート、ショッピング施設へ負の影響は大きくなるのかな、と感じます。実際に緊急事態宣言発出後、多くの商業ビルの閉鎖で、オーナーに対して、商業テナントの家賃削減や、住居賃料も値下げを求められたようです。

 

一方で上記オフィスと住宅の話に結び付きますが、コロナショックによる在宅勤務の増加や郊外型の住む方がもっと浸透すると、ECではカバーできない、日用品などの購入に関して、郊外型モールへの買い物ニーズなどは相対的に上がってくるのではないかな、と見ております。

 

■物流

 

コロナショックにより、一番恩恵を受ける不動産サブセクターでしょう。人ではなく、モノが動く世界において、非接触や安価、スピーディの対応が可能なECへの追い風は、コロナ禍を契機に、今後も続くでしょう。またEC導入が少なかった企業やセクターも、伝統的なやり方では追いついていかない、という懸念からEC を今後取り入れる必要が出てきており、モノを保存、輸送のポイントとなる、物流施設は今後も追い風となるでしょう。そのような背景から投資ファンドも継続的に投資しているようです。

 

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※本連載は、後藤康之氏の著書『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版、2021年4月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

最強の外資系資産運用術

最強の外資系資産運用術

後藤 康之

日本橋出版

日本の高齢化や年金2000万円問題を背景に、コロナ禍前から注目されていた『資産寿命』というテーマ。 加えて2020年の新型コロナという世界中に影響を与える大きな変化が起こったことで、個人レベルでの『資産寿命』を延ばす…

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