(※写真はイメージです/PIXTA)

さまざまな理由により「物事を判断できない方」について、本人の権利を守る援護者を選び、法律的に保護・支援するための「成年後見制度」。認定NPO法人市民後見センターさいたまが執り行った、実際の事例を見ていきましょう。

女性の家で発見された「誰のものかわからない遺骨」

家庭裁判所に対し、甥を申立人、当NPOを後見人候補者として法定後見を申し立てた。家庭裁判所から当NPOが後見人として選任され、法定後見が開始された。

 

また、多額の財産が見込まれたため、後見監督人を申し立て、専門職後見監督人が認められた。法定後見が発効し、本格的な後見事務を開始した。

 

最初に現在保有の全財産の確定とご自宅の整理を行った。ご自宅には通帳、印鑑、キャッシュカード等が散乱していて、どれがT様の所有で、有効なものかどうかが不明のため、T様名義のすべての通帳を整理した上で一本化し、資産額の確定作業を行った。

 

その作業と並行して、ご自宅整理を行い、貴重品と不要物との分別をしていった。ご自宅には、亡姉の遺骨以外にも誰の遺骨か不明の一柱が残されており、不明遺骨の特定をしなければ納骨もできないため、警察、区役所等に相談しながら何とか二柱とも先祖の墓所に納骨することができた。

 

納骨にはT様にも参列して頂き、涙を流して喜ばれた。財産確定のために財産を調べていたら、亡姉の遺産相続もなされていなかったことが判明したため、相続人の確定等相続に関する手続きも進めた。

 

戸籍には、行方不明の兄が記載されており、その人物の生死を確定しなければ亡姉の相続も出来ないため、本人、甥にその人物が誰なのかと問い合わせたが、二人ともその人の生死を知らず、行方も分からず、最後に姿を確認した時期も分からなかった。いろいろ手を尽くしたが何の手がかりも得られなかった。

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※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『地域で安心して暮らすために 市民参加による地域コミュニティー再生へのチャレンジ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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