(写真はイメージです/PIXTA)

不動産法務に詳しいAuthense法律事務所の森田雅也弁護士が建物の明渡訴訟のポイントを解説します。

明渡訴訟を自分で行うデメリット・リスク

建物の明渡訴訟は、弁護士へ依頼せず物件オーナーが自ら行うこともできます。もっとも、自分で明渡訴訟をする場合、次のようなリスクやデメリットが存在します。

 

専門知識を勉強する時間と手間がかかる

 

建物の明渡訴訟を行うには、専門的な知識が不可欠です。インターネットで検索をすれば、ある程度の概要は確認できますが、インターネット上の情報はあくまでも一般的な事例が大半です。

 

弁護士が行う場合には、条文を読み込んだうえで実際の個別的な状況に合わせて理論を組み立て、過去の判例を調べたり必要な証拠を集めたりして訴訟の準備を行います。

 

こうした知識やスキルは一朝一夕に身につくものではなく、自分で訴訟を行うとなればかなりの時間や手間が必要となるでしょう。

 

入居者と直接やり取りをする必要が生じる

 

弁護士へ問題の解決を依頼した場合には、相手方である入居者とのやり取りは弁護士が行います。一方、弁護士へ依頼せず自分で訴訟を行う場合には、入居者との連絡も自ら行わなければなりません。

 

明渡訴訟を検討しているということは、そもそも入居者が一筋縄ではいかないケースが多く、直接やり取りをすることによりストレスを感じることが多いでしょう。

 

解決までに時間がかかる可能性が高い

 

自分で明渡訴訟をする場合には、解決までに時間がかかる可能性が高いといえます。訴訟に必要となる書類が不足していたり書面の内容が誤っていたりする可能性があり、後から裁判官に追加資料の提出や書面の訂正を求められる可能性が高いためです。

 

建物の明渡訴訟は、ただでさえ時間がかかるケースも少なくありません。解決が遅れることにより、その分新たな入居者に物件を貸し出すタイミングも遅れてしまい、賃料を得る機会を逃してしまいます。

 

結果的に、弁護士へ依頼した場合にかかる報酬以上に本来得られたはずの賃料を逃してしまえば、本末転倒です。

 

不利な判断をしてしまう懸念がある

 

訴訟の過程で裁判所から和解を提案された際などに、その和解案を受け入れるのか当初の主張を維持するのかには難しい判断が必要となる場合もあります。

 

弁護士がついていれば、その経験などから適切なアドバイスをすることができる一方、自分で訴訟をした場合には自ら決断を下さなければなりません。

 

こうした際に結果的に不利となる判断をしてしまう可能性が高まる点も、自分で訴訟をするデメリットといえます。

まとめ

建物の明渡訴訟は自分で行うこともできる一方で、自ら訴訟をすることにはデメリットも少なくありません。問題をできるだけ速やかに解決するためにも、ぜひ弁護士の活用をご検討ください。

 

賃貸物件の経営には入居者とのトラブルはつきものです。明渡訴訟にまで発展すれば問題が長期化しやすいほか心理的な負担ともなりかねません。そのため、トラブルとなる可能性を減らせるよう、リスクの高そうな方の入居を避けたり、きちんと保証人をつけたり、問題が小さなうちに解決しておいたりといった事前の予防が重要となります。

 

こうしたトラブルの予防についても、弁護士の活用を検討しましょう。

 

 

森田 雅也

Authense法律事務所 弁護士

 

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本記事はAuthense不動産法務のブログ・コラムを転載したものです。

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