(写真はイメージです/PIXTA)

相続税対策として、自社株式を贈与するときの注意点を行政書士法人ストレートの大槻卓也行政書士が解説します。

株式評価のタイミングと贈与のタイミングを調整する

贈与する場合は、いつ贈与するか、そのタイミングを見極めることが重要です。贈与をする日によって、株式評価の比準要素や基準となる事業年度が異なることがあるからです。

 

純資産価額は贈与日の相続税評価額(一般的には前期末を基準とする)になります。類似業種比準価額は、当年の決算を迎える前の贈与であれば、前年の決算数値を基準に株式評価をします。

 

また、決算を迎えた後の贈与であれば、その決算期の数値を基準に株式評価をすることになります。それらを考慮して、いつ贈与するかを決めるといいでしょう。

「相続税と贈与税の一体化課税」に備える

暦年課税による少額の株式贈与を繰り返して相続税を節税する手法は、時間はかかりますが確実で安全な方法です。

 

ただし、令和3年度の税制改正大綱において、相続税と贈与税の一体化が検討されています。欧米諸国の制度から類推すると以下3通りの方法が考えられます。

 

①アメリカ型で、暦年課税を廃止し精算課税制度に一本化する。

②ドイツ型で、相続開始前10年間の暦年課税による贈与を相続財産に加算する。

③フランス型で、相続開始前15年間の暦年課税による贈与を相続財産に加算する。

 

いつからの贈与に適用されるのか、どのような制度になるのかは全く不明です。しかし、いずれ一体化される可能性は高いので、今から自社株式を贈与を始めてもいいでしょう。

相続税対策として自社株式を贈与する際の注意点

・自社株式を贈与した場合の贈与税の支払いは贈与を受ける人なので、贈与税の資金の確保を検討する

・自社株式の評価をしてから贈与税をいくら払う必要があるかを考える

・特例納税猶予の適用でメリットを享受できるかどうか確認する

・贈与をする日を決算の前後のいつにするか検討する(株式評価の比准要素や基準となる事業年度が異なることがあるため)

・相続税と贈与税の一体化(相続税対策の生前贈与が通用しなくなる)の可能性に備えて今から贈与を始めるといい

 

 

大槻 卓也

行政書士法人ストレート 代表行政書士

 

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本記事は行政書士法人ストレートのコラムを転載したものです。

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