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物価の見通し
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2021年9月に前年比0.1%と1年6ヵ月ぶりのプラスとなった。携帯電話通信料の大幅下落がコアCPI上昇率を▲1%以上押し下げる一方、原油高に伴うエネルギー価格の上昇、「Go To トラベル事業」停止による宿泊料の上昇がコアCPIの押し上げ要因となっている。
一時、1バレル=80ドル台まで上昇した原油価格(ドバイ)はオミクロン株への懸念などから70ドル前後まで下落しているが、原油高の影響が遅れて反映される電気代、ガス代の上昇ペースは今後加速することが見込まれる[図表9]。
エネルギー価格の上昇率は10月の前年比11.3%から2022年初にかけて20%近くまで高まり、CPI上昇率への寄与度は10月の0.83%から1%台前半まで高まる可能性が高い。また、原材料価格上昇によるコスト増を転嫁する動きが広がることにより、食料(生鮮食品を除く)の伸びも一段と高まることが見込まれる。
コアCPIはエネルギー価格の上昇ペース加速を主因として2021年末にはゼロ%台半ばまで伸びを高める可能性が高い。「Go Toトラベル」停止による押し上げ効果が剥落する2022年1月以降はいったん伸びが低下するが、携帯電話通信料の大幅下落の影響が縮小する2022年度入り後には、コアCPI上昇率は1%台前半まで加速することが予想される。
ただし、需給面からの下押し圧力が残存すること、サービス価格との連動性が高い賃金の伸び悩みが続くことから物価の基調が大きく高まることは期待できない。コアCPI上昇率は、2021年度が前年比0.0%、2022年度が同0.9%、2023年度が同0.7%と予想する。
斉藤 太郎
ニッセイ基礎研究所
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