コロナ禍での外出自粛は、健康に対して思わぬ「リスク」をもたらした、と東京大学大学院医学系研究科・特任教授の中川恵一氏は指摘しています。 ※本連載は、書籍『養老先生、病院へ行く』(エクスナレッジ)より一部を抜粋・再編集したものです。

長く座ると「がん死亡率が高まる」…考えられる理由

もう1つ大きな問題は、自宅で座ったままの生活を続けていると、運動不足に陥ることと、がんを含めた病気のリスクが上がる可能性があることです。

 

アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究が、約8000人に加速度計を装着してもらい、連続する7日間にわたって座っている時間と身体を動かしている時間を詳しく調べました。

 

その結果、肥満や喫煙などのリスクファクターを調整しても、長く座っている人にがん死亡率が多いことが明らかになりました。

 

がん死亡率が増えるメカニズムについては、まだよくわかっていませんが、長時間座り続けることで血流が悪化し、筋肉の代謝の低下や、ホルモンバランスの変化など、複数の要因が関係しているといわれています。

 

ちなみに、座りすぎによる健康リスクを帳消しにするには、1日に60分以上の運動が必要といわれています。

 

先のMDアンダーソンがんセンターの研究では、座っている時間30分を、ウォーキングなどの軽度な運動に置き換えれば発がんリスクを8%下げることができ、さらに中度の運動に置き換えれば31%ものリスク低下につながるとしています。

 

 

中川 恵一

東京大学大学院 医学系研究科 特任教授

養老先生、病院へ行く

養老先生、病院へ行く

養老 孟司
中川 恵一

エクスナレッジ

あの「あの病院嫌い」の養老先生が入院した!? 自身の大病、そして愛猫「まる」の死に直面した養老先生が、「医療」や「老い」「大切な存在の死」とどう向き合うかなど今の時代のニーズに合致しつつも普遍的かつ多様な書籍で…

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