(※写真はイメージです/PIXTA)

2度の造血幹細胞移植を経て、2019年春に復職を果たした私立学校の理科教員、向井健一郎氏。本記事では発症時の実体験を紹介していきます。

京大病院の血液内科は、フロア全体が「無菌室」

京大病院の血液内科は近年新設された積貞棟という病棟の3階にあり、この階の全体が「無菌室」のようなつくりになっています。

 

エレベーターを降りてすぐの病棟の入り口には自動扉があって、この扉で外側の空気と内側の空気を完全に分けられるようになっているのです。

 

病棟に入るにはインターホンで名前を確認してからになっていて、入ってすぐのところに前室があります。そこで手を洗ってから、もう一つの自動扉を開けて入ることができるようになっています。

 

コートや荷物は病棟入り口の横にあるロッカー室に置くようになっていて、入室にはマスク着用が義務付けられています。また、扉で区切られている手を洗う場所にはエアーカーテンのようなものがあって、服などについたホコリなどが落ちるようになっていたり、病棟内の気圧が高くなっているので病棟内から入り口側へわずかな風が吹いていて、ホコリやウイルスなどが病棟内に入るのを防いでいます。

 

さらに、血液内科のそれぞれの病室には天井にエアコンが埋め込まれており、その吐き出し口には大型のフィルターがつけられていて、ホコリや菌類などが飛ばないようになっています。

 

このような設備があるので、昔の映画やドラマにあったようなベッドの周りを透明なビニールのカーテンで囲うようなことはしなくても十分な「無菌状態」を保った病室となっています(とても新しくてきれいな病室でした)。

 

私は、白血病というと真っ先に『世界の中心で、愛を叫ぶ』という映画を思い出してしまうので、「こんなに普通の病室に見える場所で大丈夫なのか」と心配になりましたが、最新の設備で十分に無菌状態を確保しているとの説明があり、とりあえず安心しました。

快適な病院生活を過ごすために持ち込んだものは…

万全の設備で守られているとはいえ、それでも病室には生きているもの(生花や植木鉢、動物など)や表面積の大きいもの(ぬいぐるみや折り鶴)などは持ち込むことが禁止されています。いずれも菌の持ち込みや繁殖が起こりやすいからです。

 

その他のもの、例えばパソコンやノート、飲み物、簡単な食料品は持ち込み可能で、自分に必要なものをそろえて快適な入院生活の準備をすることが大切だと思いました。そこで、夏休み中の妻に頼んで快適な病院生活を過ごすためのグッズをそろえることにしました。

 

〈情報機器など〉

ノートパソコンは必需品です。ニュースを見たり、メールを確認したり、何かを調べたり、外の世界との情報のやりとりができます。もちろん、スマホでもできますが、私くらいの世代だとノートパソコンのほうがいろいろとできて便利です。この病院では、有料ですがWi-fiが使えます。

 

スケジュール帳は、検査の予定を書いたり、簡単な日記をつけたりします。曜日を確認したり、長期の予定を確認したりするのに便利です。血糖値の値や万歩計の歩数なども記録していました。

 

※万歩計は山佐時計計器株式会社の登録商標です。

 

〈食べ物・おかず類〉

この病院の食事は、私にとっておおむね良好でしたが、やはり塩分控えめのうす味なので、味が足りないと思ったときには「ふりかけ」を使うようにしていました。塩分はそれほど強く制限されてはいませんでしたので、ふりかけを使っても怒られませんでした。

 

また、おかずがもう一品ほしいと感じたときのために、簡単に追加できるおかず(レトルトまたは真空パックのもの)をストックしておいていました。病室には、電子レンジがあるので、温めることも可能です。

 

さらに、献立のなかで味噌汁やコーンスープなどがある場合もあるのですが、おかずだけで汁物がつかない日もあります。そこで、汁物が好きな私はインスタントの味噌汁やカップスープの素を買って用意しておきました。

 

〈栄養補助食品など〉

乳酸菌飲料の「R-1」と「ヤクルト400」は、どちらも腸内環境を整えて免疫力を高める効果があると言われていたので飲んでいました。特に「ヤクルト400」は、俳優の渡辺謙さんが白血病の闘病中に愛飲していたということで、あやかって飲むことにしました。

 

野菜ジュースや栄養サポート食品は、「野菜類が少ない」とか「カロリーが足りない」と感じたときに飲みました。強い抗がん剤治療が始まると、普通の食事が食べられなくなる場面もあるので、ゼリーや飲料などでエネルギーを補給しました。

 

〈寝具・日用品など〉

長期に入院していると、夜にぐっすり眠れることはとても大切です。そこで、自宅から枕とベッドマットを持ってきました。

 

この病棟で、枕を持ってくる人は今までにもいたそうですが、ベッドマットを持ってきた人は初めてだそうです。いつも使っているベッドマットで、病院のベッドサイズとぴったりのマットがあったので使うことにしました。おかげで、夜はぐっすり眠れていました。

 

また、病院内での移動に使うスリッパも重要です。スリッパは簡単に洗うことが難しいので、二つのスリッパを用意して、使用後は抗菌スプレーを吹きかけて乾燥させて、交互に使用していました。

 

このほかに、乾燥防止のためのハンドクリームやリップクリームがあると便利です。あとはタオルや歯ブラシ・歯磨き粉などですが、液体歯磨きもあるとブラッシングがしにくいときなどには便利です。

 

 

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向井 健一郎

1958年東京都生まれ。私立学校の理科教員。大学卒業後に都内の私立学校での非常勤講師を経て、1984年から昭島市の啓明学園に勤務。1998年から北海道の立命館慶祥中高に転職し、理科だけでなく情報教育やSSHなどに取り組む。2014年に京都の立命館一貫教育部に配属。翌年の夏に「白血病」を発症し、京大病院での入院治療を開始。2017年4月に立命館中高に復職するも再発。2度の造血幹細胞移植を経て、2019年春に立命館一貫教育部に復職。

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ボクは、笑顔でできている~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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