(※画像はイメージです/PIXTA)

中学受験専門カウンセラー安浪京子 × 教育ジャーナリストおおたとしまさ。中学受験を前提として、基礎学力をつけるには公文か、そろばんか、どっちが有効なのか――。教育現場に詳しい2人はどう答えたか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

国語で点数をとるのは読解技術という事実

■ライトノベルでは国語力は身につかない?

 

おおた 計算力と並ぶ基礎学力といえば、国語の「読解力」ですが、読書と読解は別だとよく言われますね。たしかに東大や京大の理系出身者・医学部出身者で、まったく読書習慣がなかったという人はたくさんいます。

 

安浪 「読書しないから、ウチの子、国語ができないんです」とみなさん言われますが、結局、国語で点数をとるのは読解技術だよ、という話なんですけどね。

 

おおた なんだか読書しないとマズイという雰囲気があるけれど、勉強できる人たちが皆読書家かというと決してそうではない、とは僕は経験的に思っています。とはいえ、小さい頃から本を読むのが得意で苦じゃない子は、テストで有利だろうなと思いますね。それは当然で、ペーパーテストが、印刷された活字を読んでそれに対して文字で解答する、紙の上でのコミュニケーションを前提としている以上、文字を読むことに慣れているのは有利。サッカーするうえで足が速いと有利になるのと同じくらいの、ベースの力としてね。

 

安浪 たしかに、それはあると思います。

 

おおた 受験勉強からはちょっと離れてしまいますが、そういう今の活字文化が、『グーテンベルクの銀河系 活字人間の形成』(みすず書房)という分厚い本に書いてあるんです。要するに、グーテンベルクが活版印刷を発明したことによって、活字が世の中を支配している、と。今はペーパーテストによって人の能力や知性をはかるから、読書ができることが有利に働いているけれど、もしかしたらこの先は、耳から入ってくる情報、映像から得る情報を処理できる人が有利な世の中になる可能性もあり得るわけです。

 

受験のことを考えると「なんとかして読書習慣を身につけさせなきゃ」と親は思いがちですが、読書が好きじゃない子は当然います。その子には、その子なりの知性の伸ばし方があるのかもしれない。「うちの子、読書しないから、頭が悪いんだ」と思う必要はないと思っています。

 

安浪 読書といっても、国語の点数を上げたいなら何でも読めばいいってもんじゃない。入試に直結するのは、ライトノベルじゃなくて文学作品です。

 

ライトノベルは登場人物が小学生や中学生で、自分の生活範囲と一緒だからわかりやすい。でも文学作品は、主人公がおじいちゃんだったり、時代設定が戦時中だったりして、やたら想像力を働かせないといけない。「読書習慣」といっても、どんな本を読んでいるかによってその子が得るものがまったくちがうんです。だから、本を読むのが好きという子がいると、私はいつも「で、どんな本、読んでいるの?」と聞きます。

 

過去問や塾のテキスト、公文などの国語の教材がいいなと思うのは、自分で読むものを選べない、ということなんです。与えられたものを想像力を駆使して読むから、ありとあらゆるジャンルのものを読む訓練になっていくんです。過去問には、小説から随筆や詩まで、いろんな内容が載っていておもしろいですよね。

 

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中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

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