(※写真はイメージです/PIXTA)

Google、Amazonとも世界有数の大企業ですが、日本では「合同会社」として事業を営んでいます。ほかにも「実は合同会社」の有名企業は多く、2019年に設立された法人のうち、合同会社は4分の1を占めています。法人化にあたり、なぜ「株式会社」ではなく「合同会社」を選ぶのか。税理士法人グランサーズの共同代表である黒瀧泰介税理士が、合同会社として法人化することのメリット、デメリットを解説します。

合同会社は費用メリットが大きい

たとえば、課税所得が2,000万円の場合を考えてみましょう。
 

ここでは、あくまで参考までに、シンプルに税率だけを掛け合わせた数字をお見せします。実際の計算の一部に過ぎない点はご理解ください。

 

<個人事業主の場合>
20,000,000×40%-2,796,000=5,204,000円

 

<資本金1億円以下の法人の場合>
8,000,000×15%+(20,000,000-8,000,000)×23.2%=39,840,000円

 

しかも、法人税の税率は所得が増えても変わらないので、所得金額が増えれば増えるほど、所得税に比べて法人税の方がお得になります。

 

また、実際には税率以外にも、個人事業主では享受できない様々な節税メリットがあります。

 

・家族へ役員報酬や給与を支給し、所得を分散できる

・給与所得控除を利用できる

・繰越欠損金の繰越期間が個人事業主より法人の方が長期である

・消費税の課税事業者である

・個人事業主が法人化した場合、消費税の納税義務が免除される可能性がある

・出張日当を経費に計上できる

・役員社宅として家賃を経費計上できる

・生命保険料を経費に計上できる

・税務上の赤字(繰越欠損金)を10年間繰越して、将来の黒字との相殺や出張日当の経費計上ができる

 

法人の設立・維持にはもちろんイニシャルコストやランニングコストもかかりますが、節税メリットや社会的信用を得られることなど、それ以上に得られるものが大きいと考えます。

 

主に節税目的で法人化を検討する場合、当然のことですが、一番気にされる方が多いのは費用面です。株式会社と合同会社では、設立費用やランニング費用などが異なりますが、コスト面では合同会社の方が低く抑えられます。

 

「株式会社」と「合同会社」の設立費用の差
「株式会社」と「合同会社」の設立費用は10万円以上も差がひらく

 

株式会社と合同会社では、設立時の費用に約14万円の差があります。一番大きいのは登録免許税で9万円の差がありますが、他にも合同会社の場合、公証人手数料がかからないため、ここでも5万円の差があります。

 

なお、収入印紙代は電子定款にすれば必要がなくなるため、合同会社の場合、最低6万円で設立することができます。

 

ランニングコストにも違いがあります。株式会社では役員に任期があり、任期期限が切れる度に「重任登記」をする必要があります。その際に、手数料として登録免許税が1万円(資本金1億円超なら3万円)必要ですが、合同会社にはそもそも役員の任期という概念がないため、そのような登録免許税が必要ありません。

 

加えて、合同会社では、株式会社で必要な決算の公告義務もないため、公告手数料である年間3~6万円の費用が節約できます。このように、費用面で見ると合同会社に大きなメリットがあります。また、レアなケースかもしれませんが、増資をする際の登録免許税にも違いがあります。

 

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