公的年金と貯蓄の取り崩し……これが定年後のベーシックなスタイル。このような高齢者はどれくらいの貯蓄があるのでしょうか? 総務省の調査から紐解いていきます。
年金、平均14万円でも…「無職の高齢者夫婦」貯蓄額2,000万円超え (※写真はイメージです/PIXTA)

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定年後、年金はいくらもらえる? 貯蓄はいくらある?

定年後の生活を支える「年金」。厚生労働省『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の受給者は3262万3411人で、平均年金額は月5万5,946円。厚生年金保険(第1号)の受給者は1,538万9,876人で、平均年金額は月14万4,268円です。

 

つまり、元々自営業などで国民年金のみもらえる人であれば、1人5万円ほど、元々会社員などで厚生年金ももらえる人であれば、1人14万円ほどが給付されるということになります。単純計算で、配偶者が専業主婦(夫)だった夫婦の場合は1世帯で約20万円、共働きだった夫婦の場合は約28万円が毎月の年金支給額となります。

 

もちろん、年金の計算はそんなに単純なものではありませんし、個人年金等を手にする人もいます。また、この金額だけで十分かどうかは、ライフスタイルなどにもよるので、一概に判断することはできません。ただ、「年金だけで足りない場合は貯蓄を取り崩す」というのは共通した認識ではないでしょうか。

 

「公的年金」+「貯蓄」。これが老後の基本的なスタイルだとすれば、高齢者はどれくらいの貯蓄があればいいのでしょうか。

 

総務省『2020年家計調査 貯蓄・負債編』によると、二人以上の世帯における1世帯当たり貯蓄現在高の平均は1,791万円、中央値は1,061万円でした。

 

年代別にみていくと、60代以降では2,000万円以上の貯蓄を有しているのが平均的な世帯だといえます。

 

【世帯主年齢別「平均貯蓄額」】

20代 376万円(年間収入564万円)

30代 760万円(年間収入675万円)

40代 1,081万円(年間収入786万円)

50代 1,703万円(年間収入869万円)

60代 2,384万円(年間収入592万円)

70代 2,259万円(年間収入441万円)

 

出所:総務省『2020年家計調査 貯蓄・負債編』より

 

高齢者のいる世帯に焦点をあてて、さらに細かくみていきましょう。世帯主が65歳以上の勤労世帯(世帯人数2.56人、世帯主年齢69歳、有業人数1.72人)の場合、貯蓄額は平均1,990万円。世帯主60代世帯の平均値を下回っています。働き続ける事情は人それぞれですが、「生活費に不安があるから」を理由の人もいるだろう、ということが推測されます。

 

また世帯主が70歳以上で働いている世帯(世帯人数2.49人、世帯主年齢74.0歳、有業人数1.75人)の場合の貯蓄額は2,515万円。世代別の平均値を上回りました。さらに世帯主が75歳以上で働いている世帯(世帯人数2.47人、世帯主年齢78.6歳、有業人数1.81人)の場合の貯蓄額は2,817万円。世代別の平均値を大きく上回っています。