(※写真はイメージです/PIXTA)

精神疾患には、正常と異常を明確に分けるボーダーラインのようなものはない、と医療法人瑞枝会クリニック・院長の小椋哲氏は考えます。疾患に対してレッテルを貼らずに、特定の状況下での心身の反応が「少数派」であるだけなのだと理解することが、療養や社会生活においては不可欠です。

パニック障害患者が「ウェブデザイナー」として独立

とはいえ、人によっては既存の組織のなかよりも、一人で活動するほうが能力を発揮できることもあるでしょう。そこで、当院では併設しているカウンセリングオフィスの一事業として、患者の独立起業をサポートしています。

 

すでに、私が診てきたパニック障害の患者で、ウェブデザイナーとして独立を果たした女性もいます。

 

彼女はパニック障害を発症する前は企業のデザイナーとして勤務していましたが、組織の一員としての働き方よりも個人で活動するほうが心身の負担が少ないと考えたのです。

 

そこで、あえて元職場への復帰や別の職場への就職の道は選ばず、フリーランスとして起業する道を選びました。少しずつではありますが、彼女の腕前を評価するクライアントが増えており、コロナ禍においてもビジネスは順調に推移しているようです。

 

また、当院では、PSMの人たちの独立開業を支援する事業として、プリザーブドフラワーの制作販売も行っています。

 

カウンセラーでありデザイナーでもある女性スタッフが指揮を執り、彼女のデザイン案をもとに、制作を希望するPSMの人たちに働いてもらっています。

 

現段階では、PSMの人たちのリハビリや副業のような形ではありますが、いずれはここからプリザーブドフラワーの制作販売や講師として独立してくれる人が出ることを目指しています。

 

障害者か健常者か、ではなくマイノリティかマジョリティか、という考え方が社会に浸透していけば、こうした障害者雇用の問題も風通しが良くなり、双方が共存できる社会につながっていくのではないでしょうか。

 

私は今後も当院で行っている診療モデル(※)の発信と啓蒙に加え、PSMの概念についても発信を続け、誰もが自分らしく生き、活躍できる社会の実現を目指し、できることを日々積み重ねていきたいと思っています。

 

※ 診療モデル…精神医療において、診療がボランティア状態になることなく、経営が圧迫されることもなく、健康保険の枠組みのなかで患者に十分な診療の時間を提供できる、という独自の診療モデルを発信している。

 

 

小椋 哲

医療法人瑞枝会クリニック 院長

※本連載は、小椋哲氏の著書『医師を疲弊させない!精神医療革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医師を疲弊させない!精神医療革命

医師を疲弊させない!精神医療革命

小椋 哲

幻冬舎メディアコンサルティング

現在の精神医療は効率重視で、回転率を上げるために、5分程度の診療を行っている医師が多くいます。 一方で、高い志をもって最適な診療を実現しようとする医師は、診療報酬が追加できない“サービス診療"を行っています。 こ…

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