※画像はイメージです/PIXTA

自民党税制調査会の協議が開始されました。さまざまな注目ポイントがありますが、そのなかのひとつが「住宅取得等資金の贈与税の非課税が延長されるか否か」。延長が行われなかった場合でも、納税者が取れる対策はあるのでしょうか? 注意点について、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士が解説します。

非課税の特例が廃止された場合の代替方法

ここまで制度の延長について悲観的に見てきましたが、仮に延長がなかった場合でも、資産家の方はあまり心配するは必要ない、というのが筆者の個人的な見解です。というのも、以前からこの非課税制度を利用せずとも有効な相続税対策となる別の方法があるからです。

 

その方法とは、「親(祖父母)が子供(孫)の家(特に建物)を買って、タダで住ませてあげる」だけです。

 

何故それで代用できるのか。実は親が資金を出して子供の家を買い、そこにタダで子供が住んだとしても何の課税も生じないためです。第三者間であれば家賃をとれるのだから、子供がタダで住んでいるなら、家賃相当の贈与が生じると思われるかもしれませんが、贈与税では「扶養義務者間で生活費又は教育費に充てるためにした贈与は非課税」とされています。住宅を無料で利用させてあげることは「生活費の贈与」に他なりませんので、それに対して贈与税が課税されることはありません。

 

また、親(祖父母)が持っている金銭が不動産に変わることによる相続税の節税効果が生じます。建物を購入した場合、1,500万円の建物は購入直後でも木造であれば半額の750万円以下の相続税評価になることがほとんどと思います。

 

参考までに筆者が木造建物を新築した際、その評価額は3分の1以下になりました。建物は経過年数に応じて基本的には評価額が下がりますので、長期的に見ればその節税効果は更に大きくなります。購入金額が1,500万円であれば、確かに住宅取得等資金の贈与税の非課税の方が節税効果は大きいのですが、購入する物件の金額次第で1,500万円の非課税以上の効果を生じさせることも可能です。

子供の住宅購入時の注意点

1点だけ注意点をお伝えしたいことがあるとすれば、親(祖父母)が拠出してあげた金額と、その持分を合わせることです。仮に3,000万円の建物の建築価格のうち、1,500万円をだしてあげるのであれば、3,000万分の1,500万で、建物の持分2分の1を親(祖父母)名義としなければなりません。拠出した金額と持分が異なる場合、その差額は贈与となりますので、登記上の持分には注意をしていただきたいです。

 

延長されることを祈りつつ、仮に延長がなかった場合でも生前贈与以外の有効な方法として、今回紹介した方法も検討いただければと思います。

 

税理士法人ブライト相続

北川 聡司

 

 

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