飼っている子犬の発育が遅い、咳をしている、なんだか息苦しそう……日常生活のなかで子犬にこれらの症状がみられる場合、実は心臓の病気に罹っているかもしれません。本記事では、獣医師として数々の動物の命と向き合ってきた中村泰治氏が、犬の心臓病の「動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)」ついて、症状と早期発見のための対処法を解説します。

動脈管開存症の検査方法とは?

動脈管開存症の診断には、まず聴診器で心音を確認します。この病気がある場合には、特徴的な心雑音が聞こえることがあります。次いで、レントゲン検査や血液検査を実施します。病気が進んでいると、レントゲン検査で心臓の拡大や肺動脈などの拡大が確認できることがあります。

 

さらに詳細に調べるには、超音波検査などを行います。超音波検査によって動脈管が残っているかどうかや血流の異常の有無、合併症などをしっかりと調べます。

カテーテル治療なら手術の翌日に元気になることも

動脈管開存症は外科的手術によって治すことができます。胸を開く開胸手術やカテーテルという細長い管を使った手術などが行われています。

 

開胸手術では胸を開いて、大動脈や肺動脈、動脈管を確認してそれぞれ分離し、動脈管を縛るなどして閉鎖させる処置をします。

 

カテーテルを使った治療法は、カテーテルインターベンションと呼ばれる治療法です。この治療法では胸を開かずにカテーテルを使い、動脈管の中に詰め物をおいて閉鎖します。

 

人間ではカテーテル治療は広く普及していますが、動物ではまだあまり行われていません。なぜならCアームという特殊な装置が必要だったり、カテーテルを心臓まで到達させる技術が必要だったり、動物の体が小さすぎて適応できなかったりするからです。

 

しかし、胸を開いて手術するよりも、カテーテルによる治療のほうがリスクが少なく、その後の回復が早いというメリットがあります。

 

胸を開いて行う手術では、術後数日間~1週間程度は傷の痛みなどが残ります。カテーテルを使った治療であれば、手術の翌日には元気に退院できることもあります。

 

あまり症状が進んでいると、手術の適応でないケースもあります。早期に発見し、初期の段階で手術することによって、術後の良好な成績を期待することができるのです。

 

動脈管開存症を早期に発見するには、幼少時の健康診断で心音のチェックや発育不良、小犬なのに元気がないなどの症状と併せて確認します。

 

 

中村 泰治

獣医師

 

 

 

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※本連載は、中村 泰治氏の著書『もしものためのペット専門医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

もしものためのペット専門医療

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中村 泰治

幻冬舎メディアコンサルティング

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