入居費3000万円以上…「高級老人ホームで死ぬ」という選択肢

相沢 光一
入居費3000万円以上…「高級老人ホームで死ぬ」という選択肢
(※画像はイメージです/PIXTA)

最期を迎えたい場所は54.6%が自宅と答えています。入居費が安い特別養護老人ホームにしても、最近は個室が多くなり、快適に暮らせそうに思います。なぜ、それほど施設への入所が嫌いなのでしょうか。※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

「自宅での介護はもう限界」のときの選択肢

なぜ、介護される人は、それほど施設への入所が嫌なのでしょうか。

 

やはり、自宅がいちばんなのです。住み慣れているし、思い出もたくさんあるし、愛着もある。そんなホッとできる場所から出ていきたくないという思いがまずあります。しかも、人生の最終盤。まったく新しい環境、見ず知らずの人たちのなかで暮らすのは酷というもの。なんでこんな目に遭わなきゃならないのか、と思うわけです。

 

くわえて、その昔、日本で行なわれていたといわれる「棄老」に通じる悲しさもあるでしょう。施設に入れられるのは「自分がもういらない人間で、家族から見捨てられた」と感じるのです。

 

なお、少数ですが、みずから進んで高齢者施設に入居する人もいます。介護付き有料老人ホームという、おもに民間企業が運営している施設があります。有料老人ホームは総じて入居費や月額利用料が高いため、好みの施設に順番待ちをすることなく入居できるのがメリットです。

 

そのなかには、「高級有料老人ホーム」と称される施設があり、入居費は3000万円以上、月額利用料も30万円以上といったところがあります。これだけのお金を取るのですから、居住環境は高級ホテルなみ。スタッフの対応も配慮が行き届いており、快適に暮らせます。

 

また、他の入居者も裕福な人たちなので、アッパークラス同士のいい人間関係ができたりもします。お金持ちで子どもの世話にはなりたくなく、ひとりで、あるいは夫婦で優雅な老後を過ごそうという人がみずから入居するのです。しかし、こんな選択は誰もができるわけではありません。

 

ともあれ施設入所は、在宅での介護をつづけ、できる限りのことはしたが、認知症の症状が進んで介護する人の手に負えなくなったり、介護する人や家族の事情で「自宅での介護はもう無理だ」と、限界を迎えたりしたときにする選択なのです。

 

この点では、頼れるケアマネも問題なケアマネも同じ認識をもっているはず。介護が始まったら、在宅でできる限り頑張るという覚悟をもたなければならないのです。

 

 

相沢 光一
フリーライター

 

 

 

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