(※写真はイメージです/PIXTA)

兄は20年もの間、独居の母へ生活費を送金し続けました。弟は母のそばに暮らし、こまごまと生活の面倒を看ています。そんな弟に感謝していた兄ですが、母の施設入居により事態は一変。あまりにも不自然なお金の流れに兄は弟へ詰め寄りますが、弟は「知らない」の一点張りで…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

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      20年ひとり暮らしの母、施設へ…金銭はすべて弟が管理

      今回の相談者は、60代会社役員の杉原さんです。杉原さんの父親は70歳で亡くなり、その後、母親は20年近くひとり暮らしをしていました。しかし、90歳になって実家近くの高齢者施設へ入所したのだそうです。

       

       

      杉原さんは都内在住ですが、実家は中部地方で、なかなか様子を見に帰ることができません。しかし、近居の弟夫婦が母親の身の回りの世話やお金の管理も行っており、杉原さんはとても感謝していました。

       

      母親はいたって健康で頭もはっきりしていましたが、ある日弟から「母親を施設に入れた」と電話で事後報告を受け、驚きました。これまでまったくそんな相談を受けたことがなかったのです。

       

      とはいえ、施設のお金が心配になり、弟に尋ねてみました。年金はごくわずかで生活できないと聞いていたため、杉原さんは父親が亡くなって以降、毎月15万円の仕送りをしていたのです。

       

      「施設に入るなら、まとまったお金がいるだろう。おふくろへの仕送りは生活費で消えているだろうから、お金がないんじゃないか?」

       

      「心配ない、足りている」

      「母の生活費は、僕の仕送りだけのはずだが?」

      数週間後、杉原さんは母親の妹にあたる叔母と話す機会がありました。その際、母親の生活費はほとんど自分の仕送りだけだから、施設で不自由していないか心配だ、と口にすると、叔母は驚いた様子でいいました。

       

      「お姉ちゃん、お義兄さんの遺族年金で悠々自適だ、ありがたいっていってたけど…」 

       

      叔母から話を聞くと、父親の遺族年金と母親の年金で、2ヵ月ごとに40万円弱もらっているはずだというのです。杉原さんの父親は地元の中小企業の管理職でしたが、東京の大学に進学して以降、実家を離れている杉原さんには父親の給料など知る機会もなく、弟から年金はわずかだと聞き、それを信じていたのでした。

       

      杉原さんは地元に戻り、弟に母親の通帳を見せるようにいいましたが、弟は頑として通帳を出しません。しつこく問い詰めると「捨てた」などといい出す始末です。

       

      施設にいる母親に聞いても、「お金のことは、全部弟がやってくれているからよくわからない」と埒があきません。

      弟が、母親の年金と兄の仕送りを「使い込み」!?

      通帳がなくては確認しようがないため、杉原さんは母親を施設から連れ出し、メインバンクの窓口に出向いて10年分の取引明細の履歴を取得しました。すると、毎月多額のお金が引き出されていることが判明しました。

       

      母親は何もわからないといい、弟夫婦に書類を見せても「すべて母親の生活費に使った」との一点張りです。

       

      しかし杉原さんは、地元の幼馴染から弟が隣町に大きな一軒家を新築中であると教えてもらいました。

       

      高齢の母親が毎月数十万円もの資金を引き出したとは考えにくく、杉原さんは弟の自宅の建築費用になったのではないかと疑っています。

       

      「母親の年金はともかく、私が20年仕送りしてきたお金が弟に使われていたなんて許せません」

       

      杉原さんは、事情を説明しながら、悔しそうに唇をかみました。

       

       

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        本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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