(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の母親は、相続について早くから子どもたちと話し合い、遺産分割の内容を決定し、遺言書も用意していました。ところが、跡取りの長男に深刻な病気が発覚。場合によっては母親より先に亡くなる可能性もあるといいます。後々後悔しないため、母親と相続人たちはどのような対応をすべきでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

このまま長男が先立てば、母親の希望はかなわない

母親が遺言書を作成したときは、長男の瀬川さんの病気など知る由もなかったため「自宅の土地、株式は長男に相続させる」としか書いていませんでした。これでは、遺言書の内容は実現できません。

 

そこで筆者は万一の策として、母親より瀬川さんが先に亡くなった場合のことを想定した遺言書にしておく必要があることをアドバイスし、母親に遺言書を作り直してもらうよう提案しました。

 

母親は高齢ながらも意思確認は十分でき、遺言書の作り直しは可能です。また、瀬川さんと母親は、遠方に嫁いだ妹2人より、長年同居している瀬川さんの妻に自宅に住んでもらいたいと希望しています。

 

その場合、「自宅の土地や株式は長男に相続させる」の次に、「長男が亡くなっている場合は、長男の配偶者に遺贈する」という内容を追加することで遺言書が生かせるようになります。

 

また、自筆よりは公正証書のほうがより正確なうえに、法務局に預ける必要もないため、公正証書遺言の作成をお勧めしました。

高齢の母親が元気なうちに、急ぎ公正証書遺言の作成を

お元気とはいえ、瀬川さんの母親は80代です。今後、体調の急変や認知症の発症のリスクも考えられるため、早急な対応が必要です。また、今回の相続に関係する親族も、その認識で一致しました。

 

その後、速やかに母親の公正証書遺言を作成することができました。

 

もし遺言書の作り直しができなかった場合は、自宅と株式について、瀬川さんの2人の妹と瀬川さんの子どもたちで遺産分割協議をすることになり、相続権のない瀬川さんの妻は蚊帳の外に置かれてしまいます。それでは「同居して母の面倒を見る妻に相続させたい」という、瀬川さんと母親の希望は反映されません。被相続人の気持ちを実現するためにも、遺言書が必須となるケースだといえます。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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