※写真はイメージです/PIXTA

2022年秋に開催予定の第20回党大会(20大)。習近平国家主席の3期目続投が確実視されているが、その一方、水面下では「様々な駆け引き」が活発化している様子もうかがえる。20大に向けて起こり得る政治シナリオを検証していく。

長期政権に向けての布石と「不安材料」が交錯

建党百周年に合わせ3月、人民日報が発表した「党百年の名言」では、習氏の「名言」が毛沢東と並ぶ30で最多(『中国人民日報「党史を回顧する百の名言」に見た共産党の思惑参照)。4月、党メディアが一斉に、「習近平同志を核心とする党中央が中国経済を危機から新たな安定局面に誘導」と題する論評を一面に掲載。論評は「2035年展望」の文脈で「習……(中略)……党中央の強力な指導の下」とし、習長期政権を前提にしたような書きぶりだった。上記「法治政府建設実施綱要」では、5年前の綱要にはなかった「習近平法治思想の徹底学習」と「2つの擁護」が追加された。いずれも長期政権に向けての布石の感がある。

 

他方、11月の六中全会日程を発表した10月党政治局会議は、「毛沢東……(中略)……胡錦濤同志を主要代表として……(中略)……重要な成果を達成し貴重な経験を蓄積」と過去の指導者を抑え目に評価し、「棒習」「頒習」の余地を残したようにみえたが、習氏についても「18大以来、習近平同志を核心として……(中略)……新たな成果を達成し新たに貴重な経験を蓄積」と、同じ抑え目な表現に止まり、政治局内での妥協の産物とみられた。

 

10月にはまた、習氏が3期目続投への反対を抑えるため、①海外渡航を制限されているとされていたアリババ創業者馬雲氏の出国を認める、②10月全人代常務委で決定された固定資産税(房地産税)の試験的実施に関し、党内の多くの反対に鑑み試験地を30都市から10都市に削減する、③11月六中全会で採択予定だった歴史決議で、江沢民、胡錦濤両氏の名前に言及するという3つの「譲歩」をしたとの話もある(注6)

 

(注6)2021年10月23日付万維視頻。6中全会直前に新華社や人民日報が掲載した習氏をたたえる論評では、習氏の名前への言及が大半で、一部毛沢東、鄧小平への言及があったが、江沢民、胡錦濤両氏の名前はなかった。歴史決議全文は11月上旬時点なお公表されていないが、6中全会終了直後に発表された公報では(7300字以上と全会後の公報としては異例の長さで、ほぼこれが歴史決議の内容と思われる)、共産党百年の歴史を時系列的に回顧する部分では、「○○同志を主要代表とする中国共産党人」と、毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦濤、習近平の各氏を同表現で記述しているが、前段にある「19期の成果」と後段の「今後の基本方針」を記述した部分では、「マルクス主義、毛沢東思想、鄧小平理論、“3つの代表”重要思想、科学発展観、習近平新時代中国特色社会主義思想を導きとして堅持し(全面的に貫徹し)、、」と、江沢民、胡錦濤両氏の名前に言及していない。なお「歴史決議」については、追って別稿で詳細分析する。

 

10月末、人民日報やCCTVは第13次5カ年規画時の科学技術イノベーション分野の成果展覧会を(習氏以下が揃って参観するのが通常のところ)、習氏、他の常務委員6名、王岐山国家副主席が「別々(分別)に参観」したと報道したのも異例。20大に向けて水面下で様々な駆け引きが活発化していることをうかがわせる。

 

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