(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の高齢男性が亡くなり、遺族は遺産分割と相続税の納付の件で頭を悩ませていました。すると、見知らぬ女性が亡き男性の自筆の遺言書を携え、やってきました。そこに書かれていた内容は「全財産をこの女性に贈与する」というもの。果たして法的な効果はあるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

最高裁判決がいう「愛人関係維持目的」とは?

したがって、愛人に対する遺言は無効とする選択肢②も、愛人に対する遺言は有効とする選択肢③も、誤りとなります。

 

事情によっては有効になるとする選択肢④が正解となります。

 

では、本件では、愛人に対する遺言は有効となるかを検討してみましょう。

 

本件では、愛子さんが鈴木さんに「資産を全部くれたら愛人になってあげる」といって、鈴木さんは愛子さんに愛人なってもらうために、遺言を書いて渡したわけです。

 

これは最高裁判決のいう愛人関係維持目的ということとなります。

 

また、鈴木さんの遺言は、すべての資産を愛子さんに贈与するとなっていて、すべての遺産が愛子さんに贈与されることは、最高裁のいう他の相続人の生活基盤を脅かす内容ということとなります。最高裁のケースでは、3分の1を愛人に贈与するとなっており、相続人の生活基盤を脅かさない都判断されました。

 

したがって、本件の愛人の遺言は無効となると思われます。

 

本件では、愛人への遺言は無効となりそうで何よりです。しかし、最高裁のケースのように愛人への遺言が有効になるケースもあります。愛人への遺言が出てきたら、弁護士に相談することをお勧めします。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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