「運用益は非課税」「控除枠」…税制のメリット
企業型確定拠出年金には、ほかにも税制、会計上のメリットがあります。
①事業主掛金を法人の福利厚生費として損金算入可能。また、従業員の所得税、住民税、社会保険料に影響を与えない
企業型確定拠出年金では、原則として会社が掛金を拠出します。これを「事業主掛金」といいます。事業主掛金は福利厚生費とされ、全額の損金算入が可能です。
一方、事業主掛金は従業員にとっては、給与とみなされません。そのため、従業員の所得税、住民税、社会保険料がアップしてしまうなどの影響は与えません。
さらに「選択制」という方法を使うと、法人・従業員ともに負担している社会保険料を、場合によっては削減することも可能です。
②運用益は非課税
企業型確定拠出年金では、加入者が掛金を投資信託などに投資して運用しますが、その運用から得られた運用益(売却益や分配金)は非課税扱いです。
一方、通常の証券口座などで株式や投資信託に投資して運用益があった場合、所得税等で20.315%が課税されてしまいます(2021年3月現在)。その分、再投資に回せる資金が増えるので、長期的に見ると企業型確定拠出年金は、複利効果のため非常に有利な運用が可能です。
③給付時には、受け取り方に応じた控除枠がある
企業型確定拠出年金の老齢給付金を一時金として受け取る場合は、退職所得として課税されます。退職所得には、退職所得控除という非常に幅の大きな控除があるため、課税金額は相当に低くなります。また、年金で受け取る場合は雑所得として課税されますが、この場合は公的年金控除の適用が受けられるため、退職所得ほどではありませんが、一定の課税が圧縮されます。
細川 知宏
企業年金コンサルタント