社員から信頼を得ることができず、悩んでいた飯田屋社長。社員一人ひとりを大切にすることで有名な金属加工メーカーを訪ねたところ……。 ※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

人はプライベートにこそ人間性が現れる

「僕も一緒に働く従業員が何を大切にしているのかを知りたい」

 

さっそく西精工の取り組みを参考にさせていただき、自分を紹介するための自己紹介カード、通称「マイカード」を始めました。年に一度、年末年始の休暇を利用して記入してもらいます。項目は次の6つです。

 

・私がもっとも幸福に感じるとき
・私が持つ5の強み
・私のミッション・ステートメント〜何をもって覚えられたいですか?〜
・私の役割〜誰に対してどんなキラキラした役割を発揮できますか?〜
・私の信条〜10カ条〜
・死ぬまでに絶対やりたい10個のこと

 

これら6項目への従業員の回答を見ると、仕事に対する考え方だけでなく、プライベートでの考え方もうかがえます。家族と過ごす時間や趣味から、会社にいるときとは違う一面がわかり、より深い人間性を知る手掛かりとなります。

 

たとえば、仕事中はどんなにたいへんなときにも弱音を吐かない従業員も、配偶者の前では頭が上がらない一面があるかもしれません。少し頼りなさを感じる仕事ぶりであったとしても、家庭では立派な父や母として子どもに尊敬される親であったりします。

 

そんな知らなかった一面を知ると、ミスを見つけたときなどにも「子どものことで心配ごとや疲れが溜まっているのかもしれない。まずは話を聞いてみよう」と、相手の立場に立って考えられる余裕が生まれました。

 

僕にも大切な家族がいるように、従業員たちにも大切な家族や人、大切なもの、そして叶えたい夢があります。みんなが大切にしていることを具体的に知ると、それらを丸ごと含めて大切にしたいと意識できるようになりました。

 

「プライベートと仕事は分けて考えるべきだ」という意見をくださる人もいます。

 

しかし、人はプライベートにこそ人間性が表れるものです。その人の持つ人間性を知らなければ、何を考えているのかを想像することすらできません。

 

人は誰しも心の中では、「もっと自分を知ってもらいたい」「もっと自分を認めてもらいたい」という承認欲求を持っています。お互いの存在をしっかりと認めあい、その人柄に愛着を持ち、もっと理解していこうと働きかければ、よりよいチームになれるはずです。

 

仕事とは直接的には関係のない、ちょっと手間のかかる作業ですが、マイカードはお互いを知るための潤滑油になってくれています。

 

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

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