※画像はイメージです/PIXTA

家族が死亡したときに、残された相続人が続けて死亡するケースがあります。特に、相続手続きの途中で死亡した場合は2つの相続を同時に進めることになり、手続きが複雑になります。見ていきましょう。

遺産をどのように分割するかは十分に検討を

【例2】のように先に父が死亡して続けて母が死亡した場合は、第1相続で父の遺産をどのように分割するかを十分に検討する必要があります。

 

ケース1:父の遺産をすべて母が相続する(子は相続しない)

第1相続で配偶者の税額軽減を適用すれば、母が負担するべき相続税は軽減され、場合によっては税額が0になることもあります。ただし、配偶者の税額軽減を適用するときは税額が0であっても申告が必要で、子が母のかわりに申告をしなければなりません。第2相続では、子が母から相続した遺産について相続税の申告が必要になります。

 

ケース2:父の遺産をすべて子が相続する(母は相続しない)

第1相続で母が相続する遺産はないため、子は母の代わりに相続税を申告する必要はありません。自身が父から相続した遺産について申告しますが、配偶者の税額軽減を適用できないため母が相続する場合に比べて相続税は高くなります。

 

第2相続では、母に固有の財産がなければ相続税の申告は必要ありません。母の財産が相続税の基礎控除額を超える場合は、子が母から相続した遺産について相続税の申告が必要になります。

 

ケース1とケース2の違いは、第1相続だけでなく第2相続の相続税の金額にも影響します。配偶者の税額軽減だけでなく、小規模宅地等の特例や相次相続控除が受けられるかどうかも考慮する必要があります。

 

どのように遺産を分割すれば税制上有利になるかは、相続税に詳しい税理士に依頼してシミュレーションすることをおすすめします。

複雑な相続税申告には注意が必要

相続税申告の前に相続人が死亡したときは、その死亡した人の相続人が代わりに申告することになります。申告期限は本来の期限から延長され、本来提出すべきであった人の死亡を知った日から10か月後となります。

 

続けて死亡した相続人に相続税がかからない場合は期限が延長されることもありそれほど問題はありませんが、死亡した相続人にも相続税がかかるほどの財産があった場合は、その相続人の相続税申告も必要となります。計算や相続税申告書の作成が複雑になるため、税理士に相談した方が良いケースと言えるでしょう。

 

また、続けて死亡した人が被相続人の配偶者だった場合は、2回の相続でどのように遺産を分割するかによって相続税の金額が変わることがあります。こちらも相続税に詳しい税理士に相談して、十分に検討することをおすすめします。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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