(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月9日に公開したレポートを転載したものです。

3. 景気の先行き判断DI:上昇幅は限定的

2~3か月先の景気の先行き判断DIは3か月続けて上昇した。緊急事態宣言解除が決定された前月に大きく上昇したことなどにより、今月の上昇幅は限定的となった。

 

景気の先行き判断DIの回答者構成比でみても、改善と回答した割合が50%に近づいている。

 

[図表9]先行き判断DI・回答者構成比
[図表9]先行き判断DI・回答者構成比

 

先行き判断DI(季節調整値)の内訳をみると、家計動向関連は57.9(前月差0.8ポイント)、企業動向関連は53.6(同▲0.4ポイント)、雇用関連は63.1(同3.5ポイント)であった。家計動向関連の内訳では、サービス、飲食が前月より低下したが、依然として60を超えており、先行きへの見方は前月からあまり変化がないといえるだろう。加えて、先行きでも雇用関連の好調さが目立つ。

 

[図表10]先行き判断DIの内訳の推移 [図表11]先行き判断DI(家計動向関連)の内訳の推移
[図表10]先行き判断DIの内訳の推移
[図表11]先行き判断DI(家計動向関連)の内訳の推移

 

また、回答者のコメントからは、依然として第6波を警戒する声が多く見られるものの、Go To トラベルキャンペーンを含む経済対策やクリスマス商戦への期待の声が聞かれた。他方で、原油価格上昇や物価上昇への懸念を指摘する声もあった。

 

<Go To トラベルや経済対策に関する回答者の主なコメント>

 

「新型コロナウイルスの新規感染者数の減少やGo To Travelキャンペーン等の観光施策により旅行者数が増加し、景気は良くなる」(中国・観光名所(館長))

 

 

「新型コロナウイルスの第6波は確実に訪れるという予測だが、ワクチン接種率が高くなるにつれて人の動きが活発になり、影響も薄れてくる。選挙後の経済対策に期待している」(九州・スーパー(企画担当))

 

<原油価格上昇や物価上昇への懸念を指摘する回答者の主なコメント>

 

「原油価格が高騰していて、売上は前年とさほど変わらず、費用が増えて、人件費も上がっている。これでは、経営が成り立たない」(甲信越・その他サービス[クリーニング](経営者))

 

「一般商品の値上げや原油価格の高騰で、家計の収支が悪化しそうである」(近畿・一般機械器具製造業(設計担当))

 

「原油価格急騰と円安の影響で、ガソリン、電気料金、食品等、国内物価が上昇し、インフレが話題に上がっている。日銀の異常な金融緩和も出口が見えてくるのだろうか」(北関東・美容室(経営者))

 

<クリスマス商戦に関する主なコメント>

 

「緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除され、徐々にではあるが客足が戻ってくることに期待したい。これから冬物、お歳暮、おせち、クリスマスや年末年始と百貨店にとっては最繁忙期であり、新内閣の経済対策にも期待しながら、積極的な対策を実施していき、売上に結び付けたい」(東海・百貨店(総務担当))

 

「年末に向けて、前年のように新型コロナウイルスの新規感染者数が急増しなければ、来客数の増加は続くと予想される。企業の決算をみる限り、業績の回復が進んでおり、冬のボーナス支給額も増加が予想されるため、クリスマスや歳末商戦に期待したい」(近畿・スーパー(経営者))

 

 

 

山下 大輔

ニッセイ基礎研究所

 

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