(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者に「妄想、幻覚、徘徊」といった症状がみられたら、認知症を疑うことでしょう。医者でも疑い、そのまま「誤診」してしまうことがよくあるといいます。本当は完治も可能な身体疾患なのに、「治らない認知症」と誤診され、適切な治療がおこなわれなかったら…。医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が、実例とともに解説します。

恐ろしい…もしも以前のクリニックを再診していたら

しかし、残念なことに医療機関で甲状腺機能低下症が見逃され、誤った診断がなされたために、翻弄されることになってしまったのです。高齢になると体の病気でも認知機能が悪くなる、ということを医療機関側が分かっていなかったために起こったと推察されます。

 

もし、ショートステイの期間が切れたときに当院ではなく、もともとかかっていたメンタルクリニックを再診していたら、ずっとアルツハイマー型認知症として扱われ、進行抑制薬を投与され続けていたかもしれないのです。

 

当然、薬は効きませんから、母親はずっと認知機能も体調も悪化したまま、自立した生活もできずに命を終えていたかもしれません。そう考えるとこれはかなり深刻な誤診です。

 

認知症は診断の難しさに対し、診断スキルが必ずしも平準化されておらず、医師によって診断がぶれやすいために、こうした誤診や不十分な診断が多発している実情があります。

 

 

磯野 浩

医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長

※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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