現代の日本では、「太ることを極端に嫌がる」人が少なくありません。「野菜を食べて、質素な食事をすることが健康につながる」といった考えが広がるなか、現役の医師である野末睦氏は「還暦を過ぎた人は、軽度肥満くらいが理想的な体形」だといいます。その理由をみていきましょう。

高齢者にとっての「理想的な食事」とは

次に、痩せてしまう原因としては、嚥下機能の低下があります。口の中に食べ物が入っても、飲み込むことができないということです。

 

あるいは飲み込むことができても、その度に誤嚥し、むせてしまったり、最終的には誤嚥性肺炎になって、苦しくなったりすると、自己防衛的に食べることをやめてしまう人が多いのです。

 

このような場合を疑うときには、嚥下内視鏡を行なって、飲み込みの機能の評価を行い、それによって食事の時の姿勢、さらには食事形態を工夫していきます。

 

ところが、嚥下内視鏡ができる訪問診療医はかなり限られてくると思います。そのような検査ができない場合には、嚥下障害を持つ患者さんが食事をするときの姿勢のゴールデンスタンダードとされる、座ることができる場合は前傾座位、座っていることができない人には完全側臥位(かんぜんそくがい)をお勧めします。

 

このような工夫を行って、なんとか栄養状態を良好にすることが、在宅療養を効果あるものにしていくキモでないかと思われます。

 

そしてこのような工夫を始める前には、最初に申し上げた「野菜を食べて、質素な食事をすることが健康につながる」という固定概念を取り払うことが最も重要だと思います。

 

高齢者には吉野家の牛丼、マックのハンバーガーなどは、結構理想的な食事なのです。


そして、このような栄養のサポートがうまくいっているかどうか。それを最終的に判断するのは体重の変化です。

 

痩せている人でも少しずつ太って、BMI26に向かっているようであれば、とてもうまくいっているということです。

 

 

野末 睦

医療法人 あい友会

理事長

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