生前の父は、兄に「不当利得返還請求権」を持っていた
本件では、Aさんの認知症が進行して重度となったため施設へ入所しており、賃料や通帳の管理は長男のXさんが行っていたということですから、Xさんがおろしたことはほぼ間違いがないでしょう。
Xさんがお金をおろすことにAさんの承諾がなければ、当然無断でおろしたことになりますが、仮に承諾があったとしても、Aさんは重度の認知症であり判断能力はなかったと思われるため、承諾は無効です。つまり、認知症のAさんの承諾があってもなくても、無断でおろしたことになります。
したがって、Aさんは生前、Xさんに対し不当利得返還請求権を持っていたということとなります。
この不当利得返還請求権も遺産であり、相続人に相続されます。
したがって、「5000万円は、生前になくなったものだから、諦めるほかない」とする選択肢①は誤りです。
「不当利得返還請求」も遺産の一種
使い込まれた金額が5000万円ということだと、5000万円全額Xさんに請求できるようにも思えますし、そういう勘違いをされている方も多くいます。
しかし、不当利得返還請求も遺産なので、相続分に従って、各相続人に相続されることとなります。
したがって、生前の使い込みについては、被相続人は全額不当利得返還請求ができますが、相続人は、相続分に応じた額しか行使できません。
そこで、「5000万円は、不当利得として、全額Xさんに返還請求できる」という選択肢②は誤りとなります。
Y子さんは、自分の相続分2分の1について不当利得返還請求権を行使できることとなります。
Xさんに使い込まれた額が5000万円だとすれば、Y子さんは2分の1である2500万円を不当利得返還請求できます。
よって、正解は③となります。
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