(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年11月5日に公開したレポートを転載したものです。

予想分配型は底堅い人気だが

外国株式のアクティブ・ファンドの中でも基準価額によって毎月の分配金が変動する、いわゆる予想分配提示型のファンドの販売は比較的、底堅かった。予想分配型を含む外国株式の毎月分配型ファンドには10月に1,300億円の資金流入があった。9月は2,000億円であったため、毎月分配型への資金流入も10月に減少していたが、他のアクティブと比べると小幅な減少であった。そのため、外国株式のアクティブへの資金流入の実に約6割が毎月分配型(ほぼ、予想分配型)への流入となった。

 

10月に資金流入が大きかったファンドをみても、10本中5本([図表2]赤太字、青太字)が予想分配提示型のファンドであった。特に「グローバルAIファンド」と「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」は10月に予想分配提示型が資金流入上位([図表2]6位と9位)となる一方で、非毎月分配型が資金流出上位([図表3]5位と7位)になっている。このように同じ運用を行っているファンドでも、その販売の明暗が完全に分かれていることからも、予想分配提示型の仕組みがいかに投資家の人気を集めているか分かる。

予想分配型の特性を理解できてないで購入している投資家も

ただし、一部の投資家は予想分配提示型の特性を十分に理解せず、人気があるからといった安易な理由で予想分配提示型のファンドを購入している可能性がありそうだ。それは意外と予想分配提示型ファンドの分配金が再投資設定されていることからうかがえる。

 

10月に資金流入が最も大きかった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月(ヘッジなし)予想分配金提示」は10月末時点で純資産総額がファンドの中で最大であるが、毎月決算日(15日)の翌営業日に分配金の再投資によって資金流入が増える傾向がある。正確には分かりかねるが前後の営業日と比較すると、10月は分配金から30億円-60億円ほど再投資があった推測される。30億円-60億円が再投資されているとして逆算すると、このファンドの純資産総額に対して10%~20%が分配金を再投資する設定にしていることになる。

 

そもそも予想分配提示型は、特別分配金(元本から払われる分配金、いわゆるタコ足分配でこの場合は非課税になる)が出にくい仕組みである。予想分配提示型の分配金は通常、分配金が出るたびに約20%課税され、再投資を設定している場合は(残り約80%の)税引き後の分配金が再投資される。それゆえに予想分配提示型のファンドの分配金の再投資設定は、同様の分配頻度や分配金自体が少ないファンドと比べて税金の支払い頻度が増え、実際は非効率な運用となってしまう可能性が高い。

 

つまり、分配金が不要な投資家にとっては、予想分配提示型のファンドを購入して分配金を再投資するよりも、同様の分配頻度や分配金自体が少ないファンドがあれば、そちらを購入した方が適切である。実際に「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」には、人気の予想分配提示型(CコースとDコース:[図表2]10位と1位)より分配頻度が年2回と少ないファンド(AコースとBコース)も用意されている。それにも関わらず、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月(ヘッジなし)予想分配金提示」では純資産総額に対して10%以上の投資家が分配金を再投資していると推察される。

 

やはり、一部の投資家は予想分配提示型の特性を十分理解できてない、もしくは自分のニーズにあった適切な商品選びができずに購入していることが考えられる。また、対面販売が中心のファンドであるため、その投資家に販売した販売会社の商品説明やアドバイスが不親切もしくは不適切であったのかもしれない。

 

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本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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