※画像はイメージです/PIXTA

相続税申告の11万件に1万件の割合で行われるといわれている税務調査。しかし慣れている人などいるわけがなく、「本当に税務調査なんて入るの?」と不安に思っている人もいるのでは。いったい、どのようなときに相続税の税務調査は入るのでしょうか。相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が、税務署目線で「税務調査に入りたくなるだろう相続税申告」について解説していきます。

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本当に相続税の「税務調査」が入ることはあるのか?

遺族の方々と話をしていますと、よく話題に出るのが相続税の「節税」と「税務調査」です。特に「税務調査」については、ほとんどの方々にとって非日常的な世界のものであるためか、過度に不安に思っていたり、逆に過度に甘く見ていたり、といった状況が見受けられます。

 

「こういう申告には税務調査が入りますが、こういう申告には入りませんよ」などといった公式見解が課税庁側から明示されている訳ではありませんので、税務署職員(元を含む)や税理士の経験談を聞いたり、税理士自身の実体験から、ある程度の推測も交えて色々な説が世に出回っているのだと思います。

 

納税者側ではなく税務署側の立場に立って、どういう申告書に税務調査に入りたくなるのかを見ていきましょう。

税務調査に入りたくなる申告①税理士が関与していない申告

まず容易に想像できるのが、税理士が関与していない申告です。申告書の第1表の下の方に担当税理士の記名欄があるのですが、そこに税理士の名前があるかどうかで、税務署の見る目は変わってくるはずです。

 

毎年の所得税の確定申告であればともかく、一般の方で相続税の申告に慣れている方はいないと思います。そんな慣れていない一般の方が作成した申告書であれば、「何かしらの不備があるのではないか?」、「追加で税金が取れるのではないか?」と税務署が思っても不思議ではありません。

税務調査に入りたくなる申告②相続税に特化していない税理士が作成した申告

一般の方ではなく税理士が作成したとしても、どういう税理士が担当したかによって、税務署の見る目も変わってくるかもしれません。

 

昔と違い、現在は各税理士や各税理士法人がインターネット等で自身の得意分野や実績を公表できる時代です。当然、税務署側も容易に確認することができます。

 

わざわざインターネット等で確認をしなくても、申告書(第1表~)の他に根拠資料をきちんと整理して添付しているかどうかを見れば、相続税申告に慣れているかどうかはすぐに分かるでしょう。

 

また、生前贈与や名義預金、手許現金をはじめ、固定資産税評価額の付されていない家屋や入院給付金や還付金などは、もしかするとふだん相続税申告に慣れていない税理士であれば見逃していたかもしれませんが、相続税申告に慣れている税理士であればきちんと確認した上で適正に申告をすることになります。

 

相続税申告に慣れていない税理士に対しては、「表面上の数字を集計して計算しただけの申告書になっているのではないか?」、「調査に入って色々と突っつけば追加で税金が取れるのではないか?」と税務署が思っても不思議ではありません。

税務調査に入りたくなる申告③遺産規模が大きい申告

税務署にも、人員や予算に制限があります。無限に時間や手間をかけられる訳ではありません。そうしますと、「追加で税金が取れそうなところに調査に入ろう」という発想と、「漏れが発見できた時に追加税額の大きいところに調査に入ろう」という発想に行きつくことが想像できます。

 

前者(~取れそうなところに~)については、まさに前述の「税理士が関与してない申告」と「相続税に特化していない税理士が作成した申告」が該当しそうですが、後者(~追加税額の大きい~)については、どうでしょうか。

 

相続税の特徴の一つとして、累進課税といった点が挙げられます。課税金額が大きければ大きいほど、税率が高くなるということです。

 

たとえば同じ1千万円の財産計上漏れが見つかったとしても、もともと5億円で申告していた人と、もともと5千万円で申告していた人とでは、追加税額(本税+附帯税)に大きな違いが出てきます。

 

この増差分が大きい方が、税務署職員の成績も良いだろうなということは容易に想像できます。

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