(※写真はイメージです/PIXTA)

あるLGBTの人は、同性のパートナーを病により失った。婚姻関係にはなかったものの、パートナーは自筆証書遺言を残してくれていた。しかし、パートナーのきょうだいは「無効だ」と強く主張。相続は可能なのだろうか。多数の相続問題の解決の実績を持つ司法書士の近藤崇氏が、実例をもとにわかりやすく解説する。

現在の法律では、パートナーや内縁関係に相続権なし

現状の法律では、同性・異性を問わず、パートナーや内縁関係の者に法定相続権はない。

 

遺言がない場合、確かに亡くなった方の弟が法定相続人となりうるだろう(亡くなった方の両親など、直系尊属が全て死亡している場合)。

 

加藤さんのケースにおける相続の対策としては、①養子縁組、②遺言書作成が一般的だ。

 

養子縁組を利用すると、法律上の親子関係となるため、法定相続人の第一順位の相続人となる。しかし、養子縁組は姓が変わってしまうほか、年下の者は年長者の親にはなれないため、必ず年上の者の性を名乗ることになる。

 

第793条
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

 

よって、いわゆるLGBTのパートナー関係の場合、相続対策として遺言書を作成するケースが多いように思われる。

確実に相続したいなら「公正証書遺言」が必須

今回、亡くなったパートナーの弟が相続権を主張するなら、パートナーが残した自筆証書遺言が無効であることを、訴訟などにより確認を得なければならない。

 

加藤さんのパートナーは自筆証書遺言を残したが、自筆証書遺言の場合、後々トラブルになることも多いため、遺言を作成する場合は公正証書遺言をおすすめする。

 

また今回のケースは、自筆証書遺言であるため家庭裁判所での検認が必須だ。家庭裁判所での検認においては、法定相続人全員に対し通知が行くので、やはり法定相続人の弟と家庭裁判所で顔を合わせることになる。

 

同性パートナーの場合、なにも対策をしなければ、一切の財産が受け取れないことが十分に予想される。事前に遺言書を作成することは最低限の対策とだといえるだろう。

 

※本件は業務上の経験と個人的な見解とに基づき記載しておりますので、内容の正確性、法的整合性等ついては一切の保証をできかねます。各相続のケースでは各専門家の指導の下、個別具体的な判断お願い致します。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

近藤 崇
司法書士法人近藤事務所 代表司法書士

 

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    本記事は、司法書士法人 近藤事務所が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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