「学歴なんて関係ない」。そのように耳にすることがありますが、多くの人は「そんなの嘘」と考えているでしょう。果たして学歴による格差はどれほどのものなのでしょうか。厚生労働省『賃金構造基本調査』から紐解いていきます。
高卒で給与100万円超え…それでも「世の中、学歴でしかない」という真実 (※写真はイメージです/PIXTA)

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学歴による「初任給」の格差…高校卒と大学卒では約5万円

「自分は学歴がないので」と卑下したり、「あいつは高学歴だから」と羨ましく思ったり。ニュースでも普段の会話でも、何かと話題になる「学歴」。「大学くらい出てくれ」と我が子にプレッシャーをかけたことのある人も多いのではないでしょうか。

 

ちなみに第100代の内閣総理大臣となった岸田文雄首相は、開成中・高等学校から早稲田大学法学部を経て、日本長期信用銀行。1993年、第40回総選挙にて衆議院議員初当選しました。エリート街道を歩んできたわけです。

 

「学歴がすべて」という主張を耳にすることもあれば、「いまの時代、学歴なんて関係ない」という主張も耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。

 

まずは社会人として初めて手にする「初任給」で比較してみましょう。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本調査』によると、新卒初任給(基本給=所定内給与)は平均21万2,400円。学歴別に見ていくと、大学院卒で25万5,600円、大学卒で22万6,000円、高専・短大卒で20万2,200円、専門学校卒で20万8,000円、高校卒で17万7,700円。

 

大学卒と高校卒には、初任給で5万円近い格差があります。社会人として給与を手にするのが、高校卒であれば10代、大学卒であれば20代ですから、年の差と捉えることもできるかもしれません。

 

【学歴別初任給(基本給)】

「高校卒」17万7,700円

「高専・短大卒」22万6,000円

「専門学校卒」20万8,000円

「大学卒」22万6,000円

「大学院卒」25万5,600円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本調査』新規学卒者の学歴別所定内給与額より

初任給の学歴格差…キャリアのなかで縮まる?広がる?

高校卒と大学卒。初任給で5万円、年間60万円の格差は、その後、どのようになっていくのでしょうか。

 

高校卒の基本給は年齢とともに上昇し、40代後半で30万円を突破。50代後半で31万2,800円と、社会人生最高値を記録します。

 

一方、大学卒。基本給が30万円を超えるのは、高校卒よりも10年以上も早い30代前半。50代前半に50万1,600円と最高値を記録したあと、50代後半でも49万6,700円と同水準をキープします。

 

高校卒と大学卒、20代前半では約3万円だった給与差は年齢とともに拡大していき、50代前半では20万円弱にもなるのです。

 

さらに高校卒の年間賞与(その他特別給与含む)は、基本給の2.6倍。それに対し大学卒だと、基本給の3.4倍になります。そのため推定年収(きまって支給する現金給与額と年間賞与、その他特別給与額から算出)で比較すると、20代前半では年間17万円程度だった差は、50代前半には334万9,000円までに拡大してしまいます。