(※画像はイメージです/PIXTA)

子どものポテンシャルや伸びしろはテストの点数だけではわかりません。中学受験をどう考えればいいのでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

子どもの伸びしろは点数ではわからない

一方、最難関校を目指しているMちゃんは5年生の終わり頃まで偏差値が60近くありましたが、解法を丸暗記して基礎が脆弱な、いわゆる「フェイク学力」。6年生の内容はどんどん高度になるし、暗記で太刀打ちできなくなるよとさんざん伝えましたが、勉強の仕方を変えないままどんどん成績が下がっていき、最終的に偏差値50台前半に落ち着きました。

 

学力が伸びる時期も、子どもによって異なります。

 

Aちゃんは、4年生のときに指導を依頼されました。小学校でのテストの点数は一定せず、100点のときもあれば50点のこともあります。忘れもしない最初の授業はつるかめ算。2時間、あの手この手で教えても理解できない様子を見て、「この子を入試まで引っ張っていくのは辛いなぁ」というのが正直な感想でした。

 

5年の夏前までは「割合」や「速さ」といった抽象度の高い分野が完全にお手上げ状態だったAちゃんでしたが、夏頃から急激に理解度が高まり、雑談の内容もゲームやテレビから、学校の先生や友達、家族といった対人関係に変化してきました。成熟度が増してきたのです。

 

4年生のときに「うちの子、学校では真ん中より下の成績なんです」といわれたAちゃんでしたが、コツコツと真面目に取り組み続けられる素養も貢献し、難関校に合格。4年生のときに2時間かけても理解できなかったことが、6年の夏には10分で習得できるようになっていました。

 

Aちゃんと同じような軌跡をたどる子は決して少なくはありません。

 

ちょうど中学受験のカリキュラムの始まる4年生は、子どもの学力をはかるのが非常に難しい時期です。中学受験界でいう「ポテンシャルの高い子(最難関校に難なく合格する力を持つ子)」はすぐわかります。

 

親に徹底的に管理され、宿題を何周もして点数をとっている子は、実力が見えにくくなります。一方、問題が解けない・理解できない子に関しては、頭を使えないからなのか、幼いからなのかの判断がつきません。

 

中学入試に必要な勉強内容はたしかに高度です。でも、大手塾のペースで勉強しなくても伸びる子、合格できる学校はいくらでもあります。「小学校の授業についていけないから、面倒見のいい私学に入れたい」というご家庭も増えてきました。

 

小学校の成績は子どもの現在地を知るための手がかりになりますが、伸びしろまでは教えてくれません。入試の内容も多様化してきています。中学受験は「大手塾に入って上を目指す」だけでなく、いろいろなゴールやアプローチ方法があると、ぜひ知っておいてください。

 

Pointまとめ
●最難関校・難関校を目指すなら、小学校のテストで楽に80点以上とる力は必要。
●子どものポテンシャル・伸びしろは点数だけでははかれない。
●何を目的として中学受験するかによって、アプローチの方法もさまざま。

 

安浪京子
株式会社アートオブエデュケーション代表取締役
算数教育家
中学受験専門カウンセラー

 

 

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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