「タバコだけが唯一の救いだった」と話す豊中まりあさん(仮名)

タバコ依存症に陥る患者は、日本で約11万人以上に上るといいます。その中でも特に妊婦の喫煙は大きなリスクを伴います。今回取材した都内在住の豊中まりあさん(仮名)も、かつてタバコをどうしてもやめられず、頼りきってしまっていたといいます。妊娠中の喫煙により、胎児を危険にさらしてしまったと後悔する彼女の経験談とそれを救った医師の言葉をご紹介します。

「夫から精神的DVを受け、またタバコに手を…」

やがて、2か月半のつわりが終わり、以前より体調良く過ごせる日が増えてきたといいます。

 

「つわりが終わったら禁煙する」そう決めていたまりあさんですが、とある出来事により、その誓いは脆く崩れてしまうことになります。

 

「その頃、旦那からの精神的DVを受けていました。もともと子どもを産むことも『どちらでもいい』と協力的でなく、妊娠させたから責任を取らなくちゃいけないという感じで結婚もしたんだと思います。つわり期にもほとんど家に帰ることはなかったのですが、それが終わって体調がいい日が増えてきたのを察すると、旦那は私に暴言を吐くようになりました」

 

つわりが終わったのだからと全ての家事を完璧にこなすように監視したり、働いていないまりあさんに高圧的な態度を取り続けたという旦那さん。

 

そんな日々が続くうちに、ストレスが限界を迎え、とうとうやめていたタバコに手を出してしまったといいます。

 

「これまで感じたことのないストレスでした。つわりが終わった後も、妊娠初期からずっと続いていたひどい頭痛や蕁麻疹などの体の変化に戸惑い苦しんでしました。そこへさらに旦那からの精神的DVが始まった。妊娠前の優しかった彼が消えてしまったことへのショックも相まって、自分ではもう崩れていくメンタルをどうすることもできませんでした」

喫煙による前期破水で緊急入院

こうしてタバコを再開してしまったまりあさん。しかし、当然ながら、妊娠中の喫煙は様々なリスクを伴います。流産、早産、発育不全、前置胎盤など、挙げだしたらキリがないほど……。

 

そして、喫煙を続けたまりあさんもその中の一人となってしまったのです。

 

「28週を迎えた頃でした。生理痛より重い腹痛を感じトイレに駆け込むと、破水していたんです。いわゆる前期破水。幸い、羊水が少しずつ漏れている程度だったので、すぐに病院へ行き、絶対安静と点滴での入院生活で様子を見ることになりました。まだ、あらゆる機能や肺も完成していない時期。もし帝王切開で即出産することになっていたらと思うと青ざめました」

 

自らの喫煙により、赤ちゃんを危険にさらしてしまったまりあさん。

 

彼女はそこでとある決意をしたといいます。

次ページ「タバコは一生吸わない」強い決意が招いた結末

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