どうして血糖値が高いと体によくないの?【糖尿病内科医が解説】

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張替 忠直
どうして血糖値が高いと体によくないの?【糖尿病内科医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

血糖は細胞が生きていくためのエネルギー源です。しかし、血糖値が高くなりすぎると、糖尿病という病気になります。糖尿病とは、どのような病気なのでしょうか。おゆみの中央病院の張替忠直氏が解説します。

合併症が進行すると起こりうる未来

では合併症が進行してしまうとどのような症状が起こるのでしょうか。

 

糖尿病性神経障害では感覚が低下します。足の裏に紙一枚挟んだ感覚や絨毯を踏んでいる感覚など表現される方が多いです。さらに進行すると足の痛みを感じなくなったり、温度を感じにくくなったりします。

 

ここで気を付けてほしいのが、足に傷ができても気が付かず受診が遅れ重症化するケースです。一方で、見た目ではなにも異常がないのに痛みを感じる方もみられ、電気が走るような痛み、焼けるような痛みを感じることがあります。

 

糖尿病性網膜症では最初は無症状です。「目が見えにくいな」と感じたときには既にだいぶ進行していることが多く、ひどい場合では失明してしまうことも起こります。定期的な眼科受診は忘れないようにしましょう。

 

糖尿病性腎症は、最初は尿に蛋白が漏れ出る程度で、症状としてはなにもありません。その後、進行しておこることは腎機能の低下です。最終的には透析が必要となることもあります。糖尿病は透析の原因疾患として1位となっており、一度透析が始まると週3回、1回4時間以上(通院時間なども含めるとさらに)を拘束されます。

 

大血管症は糖尿病患者が脳梗塞を起こすリスクを2~3倍高くなります。また、心筋梗塞や狭心症を起こすリスクは約3倍高くなります。しかし、比較的新しい治療薬では心臓に対していい効果が報告されているためそれらを使うことでリスクを減らすことができるかもしれません。

 

このように、糖尿病の合併症は日常生活の質を落とす病気から死に至る病気までさまざまです。仮に一命を取り留めても後遺症が残る場合もありますので、合併症を起こさないこと、進行を遅らせることがなによりも大切です。

合併症の進行を遅らせるために気を付けてほしいこと

合併症の予防のためになにかできるのでしょうか。

 

まず最も大事なことは血糖コントロールをよくすることです。特に、「具体的な糖尿病の合併症について」で触れた3大合併症である細小血管症の糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症では高血糖による代謝異常が原因になるため、早いうちからよいコントロールを目指しましょう。

 

ガイドラインでは合併症予防のための目標としてHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)7%未満が掲げられています。HbA1cとは私たちがよく使う血糖コントロールの指標となるものです。しかし、7%未満を達成している割合は糖尿病患者の内の2人に1人程であるとの報告が見られており、なかなか達成できない方もいることが現状です。

 

糖尿病の治療は血糖値だけではなく、高血圧や脂質異常症などのコントロールも重要です。脳や心臓の病気を起こす合併症には血圧やコレステロールなどの管理を厳格に行うことで起こすリスクを減らすことがわかっています。他にもタバコや肥満もリスクになりますのでひとつでもリスクを減らしていくことが大切です。

 

そして、糖尿病ではない人でも注意が必要です。なぜなら境界型糖尿病でも心臓や脳の合併症の発症に関与することがわかっているからです。境界型糖尿病とは正常型、糖尿病型のどちらにも属さないとされています。健康診断で血糖値、もしくはHbA1cの数値が基準値より高い場合は一度受診して医師に相談してみましょう。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。

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