(※写真はイメージです/PIXTA)

父が旅立ち、母をひとりにしておけない長女夫婦は、二世帯住宅を建てて同居をスタートしました。しかし、母は突然家を出て、ひとりでマンション暮らしをはじめます。その後、母親が亡くなったことで相続が発生したのですが…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

夫婦で暮らす二世帯住宅には、母親の持分が…

母親は遺言書を残さなかったため、相続は妹と話し合って決めなければなりません。

 

母親の最後の住まいとなった自宅マンションは、駅近の便利なエリアにあります。もっとも、福田さんの自宅も最寄駅から徒歩10分程度と、比較的便利な場所です。

 

福田さんは、母が住んでいたマンションを相続するのもひとつの方法だと考えていますが、どうやら妹も同様のようです。妹も自宅を所有しているため、便利な駅近のマンションを相続し、賃貸に出そうと考えているふしが見て取れます。

 

福田さんの自宅は、1/3が母親名義です、駅近のマンションと福田さんの自宅の母親の持分は、金額的にそこまで大きく乖離していませんが、それでもマンションのほうが多少価値は高くなります。

 

とはいえ、福田さんがマンションを相続すれば、二世帯住宅のほうに妹の名義が入り、権利が複雑化する可能性が高くなります。また、あくまでも公平な分割にこだわれば、住み慣れた家を売却することになるかもしれません。

 

マンションのほうが多少価値が高いとはいえ、面積も狭く、共有住宅のため自由度も低くなります。やはり、不動産の共有は避け、預金で調整するのが妥当でしょう。

 

そこで筆者は、マンションは妹、自宅の持分は福田さんとし、評価の差は預金でバランスを取ることを提案しました。

 

「妹と相談して、まずは相続税の申告準備をしようと思います。不動産評価が明確になったら、母の預金で、差額の調整をしていきたいと思います」

 

今回のように、不動産の価値に差異が生じる場合は、預金でバランスを取るのも選択肢です。その際、調整のための現金は持ち出しになることもあります。速やかに財産の分け方を決め、遺産分割協議書作成に着手するには、相続人同士の譲り合いも大切なポイントです。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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