(※写真はイメージです/PIXTA)

大地震など災害が発生すると、マンションの建物の被害をはじめ電気、ガス、水道、通信などのライフラインも大きな被害を受けます。大地震発生直後は管理会社などの外部からの支援は期待できず、対応はマンションの住人で実施せざるえません。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

大地震が起きると水洗トイレが使えなくなる

■災害への対応状況

 

マンションは地震に強いといわれていますが、いくら堅牢なマンションでも、防災対策は必要です。

 

被災した場合、外部の支援が届くまでの期間は、被害状況によって違ってきます。最近では、7日間は自力で生活できるように備えるという考え方も示されています。

 

まず食料や飲み水の確保が必要です。また、地震が起きると、断水や停電・下水道の破損によって多くの水洗トイレは水が流れなくなります。ですから、各家庭で簡易トイレを備蓄することが大切です。簡易トイレを備蓄する目安ですが、成人の一日のトイレの回数を約5回として計算すると、4人家族ですと一週間分の140回分の簡易トイレが必要となります。食料品や飲料水ばかりではなくこういった備蓄品の検討も必要になります。

 

東日本大震災の発生前と発生後では、大災害発生時おけるマンション管理組合の対応の状況においても変化が出ています。

 

平成26年4月に公表された「平成25年度マンション総合調査」から、平成20年度と平成25年度の大規模災害へ の対応を比較すると、いずれの対応項目も増加しています。平成25年度で「特に何もしていない」と回答した管理組合は29.2%であり平成20年よりも10%近く減少しています。

 

東日本大震災の影響が大きく反映されていると思われます。

 

■マンションの防犯対策

 

空き巣等の被害に遭うと、大切な財産を失ってしまうとともに、「自宅に見知らぬ者に侵入された」という精神的苦痛から「心の病」になったという相談も過去にありました。マンションでは、普段からドアや窓に対する「防犯対策」や「戸締りの確認」を心がけることが大切です。マンションの上層階に住んでいるので空き巣被害には遭わないだろうと思っていませんか。

 

警察の方の話ですが、雨樋を伝わって8階まで登りベランダ伝いに移動して次々と盗みを働くケースがあったそうですし、最上階でも屋上からロープを伝ってベランダへ侵入した例もあり、安全な階はないので、油断は大敵です。最近の空き巣は犯行時の服装も営業マン風のスーツ姿が多いなど、私たちが想像する泥棒の怪しいスタイルとは違っているそうです。

 

空き巣は侵入までに5分以上かかると7割以上はあきらめるといわれています。だからこそ、オートロックシステムであっても、ゴミ捨て等で少しの時間でも外に出るときは必ず施錠することは大切です。

 

近年、不審者の侵入、住居侵入窃盗等、管理組合として防犯対策の重要性は増加しています。オートロックシステムや防犯カメラの設置等ハード面の防犯対策を講ずるとともに、管理組合としてのソフト面の防犯対策も重要であります。

 

管理組合のソフト面の防犯対策とはどのようなものでしょうか。国土交通省の「マンション管理標準指針」では、次の防犯対策を「標準的な対応」としています。

 

(ア)最寄りの交番、警察署の連絡先等の周知
(イ)日頃からの居住者同士の挨拶が自然に行われるような取組の実施

 

最寄りの交番、警察署の連絡先を周知する事により、不審者を発見した時の通報を迅速に行い犯罪を未然に防止することができます。また、犯罪者の心理として居住者に見られたり、声をかけられたりすることを避けたいものであり、そのために挨拶の励行という取り組みが非常に重要であります。何をすれば防犯効果が高まるのか、といった視点からも細かく検討しましょう。
 

 

松本 洋
松本マンション管理士事務所 代表

 

 

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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