(写真はイメージです/PIXTA)

外出自粛や在宅勤務で夫婦や家族が一緒にいる時間が増え、価値観の違いなどが顕在化し、離婚に至るケースが増えています。離婚により配偶者から分与された財産には、通常、贈与税はかかりませんが、分与財産額が、婚姻中の夫婦の協力で得た財産額や貢献度などの事情を考慮し、多すぎる場合は、その多すぎる部分に贈与税が課せられます。岡野雄志税理士事務所の岡野雄志税理士が「コロナ離婚」した熟年夫婦の事例をもとに、ポイントを解説します。

キレる夫と決別!年金分割があるから大丈夫は本当か?

奥様の離婚のお申し出は、Tさんのご主人にとっては寝耳に水。夫婦間協議は揉めに揉め、結局、家庭裁判所の調停にもつれ込みました。最終的には、前項1の自宅を売却し現金で財産分与となり、決着しました。

 

離婚後、何とか自宅が売却でき、Tさんの奥様は分与された財産で念願の緑に囲まれたシニアマンションへ転居されました。ところが、このお話には後日談があります。なんと、ご主人も自宅の売却金で同じマンションの別室に転居されてきたのです!

 

調停離婚までもつれたとはいえ、奥様は顔も見たくないほどご主人を嫌っていた訳ではないので、今はつかず離れずの生活を楽しんでいます。食事提供などを伴うシニアマンションでの暮らしは、主婦業からの「卒婚」という念願も果たせたようです。

 

しかし、Tさんご夫妻の場合は充分な資産がある富裕層でしたから、雨降って地固まる熟年離婚となりましたが、そうでない場合はどうでしょう?「夫が定年になったら離婚して、年金を分けてもらうから大丈夫」そんなお声をよく耳にします。

 

確かに、厚生年金には「年金分割」という制度があり、離婚しても、婚姻期間中の夫婦ふたりの保険料納付額に応じて、それぞれが自分の年金とすることができます。年金分割方法には、以下の2種類があります。

 

(1)合意分割

 

夫婦ふたりからの請求により、夫婦合意または裁判手続きで決まった割合で分割。

 

(2)3号分割

 

サラリーマンの夫を持つ専業主婦など、国民年金第3号被保険者(厚生年金保険の被保険者または共済組合の組合員の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満)からの請求により、1/2の割合で分割。

 

厚生労働省の『令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、会社員などの厚生年金加入者の平均支給額は月額14万6162円とのこと。単純計算ですが、その半分と考えると、果たして「年金分割できるから大丈夫」といえるでしょうか?

 

離婚の沙汰も金次第と思うと情けなくなりますが、今や人生100年時代。長い老後を考えると、DVなどを伴う場合は別として、早計な離婚は得策とはいえないようです。とにもかくにも、コロナ終息と経済や福祉の拡充を願わずにはいられません。

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

岡野 雄志

岡野雄志税理士事務所

 

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