相続放棄後もついて回る「不要な土地の管理責任」から逃れたい (※写真はイメージです/PIXTA)

ある高齢男性が亡くなり、子どもが相続放棄したため、男性のきょうだいが相続人となりました。財産は地方の築古の家と土地、150万円の預貯金ですが、借金が残っている可能性が捨てきれません。いっそみんなで相続放棄したほうが楽なのですが、そこには「不動産の管理責任」の問題がありました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

現時点では免れられない「不動産の管理責任」の問題

しかし、不動産にかんしては、相続放棄だけでは対処できない問題があります。

 

民法940条では、「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と定められており、相続放棄は受理されても、財産管理人などをたてない限り、管理責任が残るとされています。

 

借金だけなら相続放棄は簡単ですが、不動産がある場合、相続放棄の申請が受付されたとしても、相続人に管理責任が残るのです。地方の不動産は国が引き取らないため、相続して売却するほうが負担は軽減されます。

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国は土地問題を認識、法律制定するも運用はまだ先

令和3年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が成立、同月28日公布されました。

 

このふたつの法律は、所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しを行うものです(法務省、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法))。

 

政府は、3年程度をめどに施行を予定しており、そうなれば、保有したくない土地を相続・固定資産税を払い続けなければならないといった事態は回避できます。

 

現状において、不要な土地を国に引き取ってもらうには、10年分の管理費と審査手数料を収め、以下の条件を満たす必要があります。

 

●更地であること(建物があれば相続人の負担で解体)

●抵当権が設定されていないこと

●境界争いがないこと

●土壌汚染がないこと

 

つまり現時点では、建物もトラブルもない、まっさらな土地にしないと、国は引き取ってくれないのです。

 

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株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。

著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

著者紹介

連載相続実務士発!みんなが悩んでいる「相続問題」の実例

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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