(画像はイメージです/PIXTA)

大学卒業後、家を飛び出して行方知れずになってしまった兄。その後、資産家の父親の死亡で相続が発生するも、妹は兄と連絡がつかず、相続手続きに着手できません。財産には大量の収益不動産が含まれ、妹は途方に暮れてしまいます。どんな解決方法があるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

行方不明者の放置は、後々の相続で困ることに

家を出たまま、どこでどうしているかわからない。そういう人が身内にいるということがあります。家に寄りつかない人は、放っておけばよいと考える方も多いと思います。しかし、相続手続では、行方不明の相続人がいる場合放っておくと、Y子さんのように、遺産相続のための遺産分割協議はできない、預金を下ろせず相続税は支払えない、貸マンションの賃貸借契約も結べないなど、なにもできずに困ってしまうこととなってしまいます。

 

行方不明の相続人がいる場合でも、行方不明だから遺産を分けなくてよいとか、署名捺印がなくてもよいということにはなりません。

 

したがって、「遺産分割協議をしなくても、Y子さんが全て遺産を取得することができる。」とする選択肢①は誤りです。

 

葬儀費用や入院費用、相続税の支払いなどのために、故人の預金を下ろそうとしても、銀行は預金を凍結して、相続人全員の署名捺印がないと預金を下ろすことに応じてくれません。

 

ただし、2019年7月1日以降の相続では、民法改正により、銀行1行当たり、相続発生時の残高の3分の1×法定相続分(上限150万円まで)下ろせるようになっています。

 

多額の相続税を支払わなければならない場合、改正民法によって認められたこの預金の一部分割制度では対応はできません。

 

そこで、預金や不動産を誰のものにするか決めるために、遺産分割協議をしようとしても、行方不明の相続人がいると、遺産分割協議ができず、遺産は共有のままで、預金を解約したり、不動産を売却したりすることはできません。

 

不動産の賃貸については、管理行為か処分行為か争いがあります。管理行為なら共有持ち分の過半数で決定できます。処分行為だとすると共有者の全員の承諾が必要となります。

 

しかし、本件のように相続人が2人で、1人が行方不明ということだと、共有のままでは、1人では過半数とはならないので、賃貸が管理行為だとしても、処分行為だとしても、1人ではできないということとなります。

 

このように、行方不明の相続人を放っておいたまま相続が発生すると、遺産についてなにもできずに困ることとなってしまいます。

 

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