元配偶者と共同で…「負動産」競売という最悪のケース
問題が複雑化するケースとしては、夫婦共有名義であったり、妻の父親がお金の一部を工面したことにより親子共有名義であったりするときです。売却しようにも、どちらかが反対すると話が前に進まなくなります。
妻が連帯保証人になっていた場合にも、同様の問題が起こります。「元夫名義、元夫所有の不動産で住宅ローンの連帯保証人になっていたが、離婚したので保証人から外れたい」という相談をよく受けますが、後から連帯保証人を抜ける方法はありません。連帯保証人は、なった瞬間、ほぼ債務者本人と同じです。
また、連帯保証人は任意売却時に、顔も見たくないであろう元配偶者と共同して売却する必要があります。しかも、売却をしても、住宅ローン全額を返せない「負動産」であるためなおさら話は前に進まなくなり、競売という最悪のケースになることも多くあります。
離婚の場合には、離婚前に、不動産をどうするのか、夫婦間で話しておくことが非常に重要です。すでに問題が先送りになっている場合には、精神的な面が障壁となっていることがほとんどですので、我々や弁護士などが間に入ることで問題を整理し、解決していくしかありません。
②リストラ
リストラの対象となり途方に暮れている、転職したが3分の1程度の収入になってしまった、リストラされていないが残業がなくなり大幅に減収した、会社が倒産し再就職もなかなかできず住宅ローンを支払えなくなったなど、新型コロナの影響もあり、減収によって住宅ローンを払えなくなった理由はさまざまに考えられます。
リストラ等により収入が減少した場合は、任意売却したとしても債務が残るので、問題は抜本的には解決できません。住宅ローンの支払いが済んだとしても、その他の借金の支払いが終わらなくなる恐れがあるため、生活の再建を考えて定期的な収入を得る必要があります。
ですので、リストラ等による収入減の場合には、任意売却だけで解決しようとせず、生活の糧を得ることをまず最優先としましょう。その次に、債務をできる限り減らし、生活できる収入と支出のバランスを調整することが肝心です。