(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後2000万円問題」が話題となったことからもうかがえるように、今、多くの日本人が老後生活に不安を抱えています。しかしその「漠然とした不安」は、制度を正しく理解していればなくなるものです。ここでは、企業年金コンサルタントの細川知宏氏が、年金収入の「3階建て」について詳細に解説していきます。

「3階部分」のため、会社がやるべきことは…

会社員の3階部分は、大きく「企業年金」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」とにわかれます。そして、企業年金はさらに、「企業型確定拠出年金」や、厚生年金基金、確定給付企業年金などの制度があります。

 

企業年金の各制度は組み合わせて利用することもできます。また、企業年金と、個人型確定拠出年金とは、組み合わせて利用することもできます。[図表2]

 

[図表2]企業の私的年金(3階部分)のパターン

 

2階部分までの公的年金は強制加入ですが、3階部分の制度設計や加入は任意になるので、企業年金を導入するのか、するとしたら、どのような制度設計をするのかなどは、経営者の判断になります。

 

企業年金がまったく用意されていない会社で、かつ、従業員が個人型確定拠出年金にも加入しないとすれば、従業員の老後の年金資金は公的年金のみとなります。

 

しかし、公的年金だけでは老後資金として不足する可能性があります。また、公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」(令和元年度)でも、老後生活に対する不安の内容の1位は、「公的年金だけでは不十分」とされているとおり、そのことは広く知られています。

 

そこで、意識の高い従業員であれば、自分で給料のなかから拠出して、3階部分としての個人型確定拠出年金に加入する人もいるでしょう。しかしそこまでの行動を自発的にする従業員はまれです。また、個人型確定拠出年金に加入したとしても、現在は加入額の上限が、月額2万3000円までとさほど多くないため、(加入する年齢にもよりますが)十分とはいいがたいものがあります。

 

そのため、会社として用意できる企業年金制度を整えることが大切なのです。

 

また、3階部分の企業年金や個人型確定拠出年金は、国として国民の老後生活の不安を解消するために用意している制度なので、税制面などの優遇が設けられていることもあり、制度を導入・加入する意義はあります。

 

ただし、制度を用意するだけでは十分だとはいえません。

 

企業年金制度を用意すること、また、どのような企業年金制度を用意するのかには、会社が従業員の将来の生活をどれだけ大切に考えているのかが表れています。

 

しかし、その意義をきちんと伝えないことには、従業員にとっては、まったく「ありがたみ」を感じられないものとなりますし、将来の不安の解消にもつながりません。制度を導入するのであれば、それをしっかり見える化して、繰り返し意義を伝えることがポイントです。

 

 

細川 知宏

企業年金コンサルタント

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